(12)
「あの、これ、すみません、神さまがこれをくれたってことは意味があるんでしょうね」
「うん、神は何か考えがあってこれをプレゼントするように言ったんだろう」
サンタイルさんがウンウンと頷きながら言う。僕はちょっと八の字に眉を下げた。
「僕も何かお返し出来ればいいんですけど・・・。突然だったもので、中々・・・」
「いいよ、いいよ、クリストフくんには、これから働いて貰わなくてはいけないんだから」
アンジェリーナちゃんも首を縦に振って頷く。
「じゃあ、日本の歌を歌います」
「えっ、日本の歌?」
「ちょっと前に流行ったポップスなんですけどね。パーティーでみんな歌ったり踊ったりするんですよね」
「あ、ああ」
サンタイルさんは目を見開いてアンジェリーナちゃんみたいに首を縦に振る。何故、驚いたような顔をしているんだろう。
「あの、変ですか?」
僕は訊いてみた。
「いや、今度来る子は大人しくて消極的だって神に聞いていたからね。ビックリしたんだよ」
それも、神!?僕がクリスマスプレゼントの仕分けをやるってことは神さまが決めていたのか。僕は暫くの間、茫然としていた。
それから、お母さんはトマトソースで煮込んだ魚を作ってくれた。色とりどりの豆も入っている。こんな豪華な煮魚は初めてだ。お父さんはグラスにワインを注ぐ。
「みんな、乾杯しよう」
アンジェリーナちゃんはリンゴジュースを、僕はブドウジュースをグラスに入れた。ちょっとアルコールを飲んだ気分になりたかった。お母さんは「どうしよう、飲んでもいい?」とお父さんに訊いて承諾を受けてから小さなグラスにワインを注いだ。
「じゃあ、クリストフくんがこの島に来てくれたことに乾杯!」
お父さんが紫色の液体が揺れるグラスを持った右手を挙げる。
みんながカチンとそれを合わせた。