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「あの、僕、17歳なんです」
「クリストフくんの居た国は17歳はお酒を飲んだらいけないの?」
「ええ、20歳からって決まりがあるんです」
「そうか、残念だなあ、まあ、いい。サンタイルさんが来たら一緒に乾杯するよ。クリストフくんはコーラなら飲めるだろう」
僕は笑みを浮かべた。そして「はい、コーラとか、アルコールが入ってないものなら飲めます」と言った。それから、お父さんも混ぜてジェンガをやった。アンジェリーナちゃんは続けて3回も勝った。
「ゲームが得意なんじゃなかったの?」
悪戯っぽい目で笑われる。スマートフォンやパソコンのゲームは得意だが、こういったゲームは小さな頃にやっただけだ。最後に遊んだのは何時だったろう。鬼ごっこ、缶蹴り、かくれんぼ。弟や友達と遊んだのが懐かしい。
「僕が得意なのはパズルゲームかなあ」
「何、それ?」
んん、まさかこの島にはパソコンやテレビゲームさえ無いのか?いいや、でも、2005年ならあると思う。クリスマスプレゼントには含まれているはずだ。サンタイルさんなら知ってるかな。そう言えば遅いな・・・。
「サンタイルさんはまだ?」
僕はアンジェリーナちゃんに訊く。
「もう来ると思う。トナカイはクリスマスイブ以外は早く寝てしまうの」
そうなんだ!どんな人だろう。僕の想像ではサンタクロースみたいな白い口髭を生やした人物のイメージがあるけど。でも、この島は若者ばかりだから、意外と若い人物かもしれない。
カラン、カラン、丁度良く玄関の鈴が鳴る。
「やっ、みんな待った?」