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剣術学校の赤点候補生  作者: 暁 皇成
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明かされる過去2

今日はいつもより早く投稿できたんじゃない!?

俺は妹のルフレをなんとか説得した後、2人で家まで戻ってきた。


「母さん父さんただいま」


ルフレは俺の腕を掴み…お母さんに顔を向けるのが気まずいのか身を隠すように俺の後ろに回った。


「おかえりエリック、ルフレ。もうそろそろ寝る時間よ、布団を敷いて早く寝なさい」


お母さんは食器を洗いながらルフレの事は気にしていないよと言っている様な穏やかな口調で話しかけてきた。


「うん!おやすみなさいお母さん!」


そんなお母さんのおかげでルフレは元気を取り戻したように大きな声で返事をしていた。


(母さんにも大人らしいところがあるんだな)


俺はお母さんの対応に感心して寝室に移動することにした。






…この時までは…俺は普通の人生を送り、幸せに過ごしていた…この時までは…






俺達家族は無事に仲直りをした後、いつも通りみんなで並んで寝ていた…

と言うものの俺達の家は狭く、並んで寝るしか方法がないので、仲が悪いと非常に気まずくなってしまうデメリットが存在する…


その反面

仲が良いときは家族との絆が深まると言うメリットも存在する。


今回俺達は仲が良い方なのでとても良い傾向だった。


だが、そんな楽しいひと時が終わりを迎えようとしていた。


俺達家族が全員寝息を立て、村全体も寝静まっている時間に…外から何やら騒がしい声が聞こえてきた


「キャーーー!!」


「お、おい!なんだこいつら!ッグボ!」


「逃げろおおお!!みんな!早く!早く!逃げてくれえええ!!」


そんな騒がしい声で俺達家族は全員目が覚めてしまったようでゆっくりと体を起こしていた。


「お母さん…なんなのこの声…」


「お父さん!」


お母さんはルフレの質問に答える余裕もなくお父さんに一言声を掛けた。


そんな真剣なお母さんの声を聴きお父さんは瞬時に布団から飛び上がり、玄関にある農業道具…ピッチフォークを手にし玄関のドアをそっと開け、少し開いた隙間を覗き見るように外の様子をうかがっていた。


バタンッ!


すると急にドアを閉め強張った表情で驚きと焦りが入り混じったお父さんがこちらに近づいてきた。


「おい、母さん!早く!子供達を隠せ!!早くしろ!外には…目の前まで!魔獣達が!!迫ってきているんだ!!」


お父さんの話し方は尋常じゃない口調で…

疑う余地もないほどに緊迫した顔をしていた。


お母さんは一瞬驚きのあまり硬直していたが、すぐさま子供を隠すことが重要だと母性本能が頭をよぎったように…お母さんは即座に行動を起こした。


「エリック!ルフレ!アルバート!衣装タンスに身を隠しなさい!そして!隠れた後は!…絶対に!出てきちゃだめよ!お父さんとお母さんが殺されたとしても!絶対よ!」


「嫌だ!僕…お父さんとお母さんと一緒がいい!!…」


「アルバート!!こんな時ぐらい!お母さんのいう事を聞いてよ!!お願いだから!」


「うう…」


お母さんの必死な言葉を聞きアルバートは目から涙を流しながらも口を閉じ…だだをこねるのをやめてくれた。


「母さん!父さん!2人は任せて!だから…死なないでね!」


俺は死を覚悟している両親に最後の言葉を口にし、衣装タンスの中に泣きじゃくるルフレとアルバートを押し込み、俺も2人に続き中に入り息をひそめた…

そして、衣装タンスのドアの隙間から外の様子をうかがうようにして覗き見た。


ドンッ!


「母さん…こんな俺を支えてくれて今までありがとう…生まれ変わっても母さんと結ばれたいな…」


バコンッ!


お父さんはお母さんへの最後の思いを口にしたと同時に…

遂に家のドアが魔獣によって壊され…侵入を許してしまった…


「おぉらぁ!」


お父さんは侵入してきた犬のような外見をした魔獣を…手にしていた農業道具のピッチフォークで勢いよく突き刺した。


だが…そんな攻撃もむなしく…魔獣達が次々に家に侵入してきてしまい、お父さんとお母さんは必死の抵抗を見せたが…

腕に噛みつかれ、足を食いちぎられ…見るに堪えない光景がタンスの外には広がってしまった。









父さんと母さんが食われ…殺された様子を最初から最後まで見ていた俺の精神は崩壊し始めていき…俺の意識が突如として…


プツン!


と途絶えた…

ピッチフォーク

農業用道具の一つで、フォークの長いモノと考えてほしい

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