長期休業12
この頃熱くなったり寒くなったりしてきておりますので
皆様、お体にはお気をつけてください
「あなたは?…」
急に後ろから声を掛けてきた筋肉の存在に俺は戸惑いながらも声を掛けた。
「なぁに?お兄さんっ!私を知らないの?ウフフ」
(全身筋肉でこんな喋り方をした人なんて…知らないし、一度見たら頭に焼き付きそうなものだな…)
「ゾノンさん?…ゾノンさんですの?」
ミーナの呼びかけにこの全身筋肉の存在はゆっくりとお後ろを振り向いた。
「あら!ミーナちゃん!!今日はどうしたのかしら?」
振り向いた筋肉の塊はミーナの事を知っているのかちゃん付けで呼んでいた
「お久しぶりですの、お元気でいらっしゃいましたか?」
久しぶりにお再会なのかミーナは筋肉マンの体を気づかっていた。
(見ればわかるだろ…元気の源みたいな体してるぞ…)
「ミーナちゃんっ!聞いてよ!私ね、最近風邪を引いちゃってね!そのせいで、私の上腕二頭筋さんが痩せちゃったの!もぉ、ショックっだわぁ…」
(俺の耳と目がおかしいのか?…どこの筋肉が痩せたんだ?…ムキムキ以外の表現が存在しないぐらいの筋肉量に見えるが?…)
「そうですわね、言われてみればそんな気がしますわね。おかわいそうに…」
(ミーナ…違いがわかるのか…もしかしておかしいのは、俺だけなのか?…)
そう思い俺は剣士長とアメリアの方を見てみることにした。
するとそこには苦笑いを浮かべた剣士長に驚いた表情を顔に出していたアメリアが居た…
それを見た俺は1人安堵した。
「あなたがゾノンさんで間違いはないようだな…腕の立つ鍛冶師というのは本当なのか?」
俺の急な質問にまたしてもゆっくりと俺が居る方向へ振り向いていた。
「あらぁ?なぁに?この子、随分と威勢がいいわね。
けど…
この子からは面白いオーラがビジビジ伝わってくるわね…ミーナちゃん?この子は?」
(なんだこの人は…俺から何を感じ取った…)
俺は筋肉の塊の勘が少し危険かもしれないと懸念した。
「その子は剣士学校に通っていますエリックと申しますの。そして、こちらが同じ学校に通っているアメリアさんですわ。二人ともかわいい子達ですわよね?」
ミーナは自慢げに俺達の事を紹介してくれた。
「は、はじめまして!…今日は…剣を選びに来ました…よろしくお願いします…」
アメリアは礼儀正しく筋肉ゾノンにお辞儀をしていた
「剣ねぇ…アメリアさんの中には希望が見えるわよ…だけどね、エリック君と言ったかしら?あなた…本当は魔法使えるわよね」
筋肉の口から出た言葉は核心を突くようなモノで、ここにいる全員が…驚きを隠しきれなかった。
(勘が鋭いどころの問題じゃないな…本当に何が見えている…)
「俺には剣の才能が無いような言い方だな…実際進歩はないが…俺は剣術を真剣に学んでいる身なんだぞ…」
「あらぁ?これはごめんなさいね。だけどね、エリック君はなおさら剣術を学ぶより魔法を習った方がいいと思うわよ、私の目が正しければあなたは魔法士長と肩を並べらる事ができるかもしれないわね」
強さの度合いが違えど、この脳筋の目は本物だった。
「その話は魅力的だな…だが、俺は剣術を学びたいんだ…ありがたい話だがこれからも俺は剣術を学びたいと思う」
「あらぁ、それは残念ね。だけど、わかったはその強い信念に私が折れるわよ」
(この人の存在は俺にとって不都合しか生まなそうだな…だが、向こうが折れてくれて助かった訳だが…)
「この話はここまでで終わりにしますわよ。それより剣を選びませんといけませんわ」
俺が考え込んでいるとミーナが上手に話題転換をしてくれた。
「そうわね!商売の話をしましょ!ささ!どんな剣が欲しいのか私に聞かせてほしいわ!」
鍛冶師ゾノンの話を聞きアメリアが素直に近くに寄っていった。
アメリアが脳筋に相談している間…
俺はミーナの近くに行き、先ほどの感謝の言葉を述べた
「ありがとうな、ミーナ助かった」
「気にしないでくださいの、ですが…予想外の展開でしたわね…アメリアさんにもきかれてしまいましたし…これからどうするおつもりですの?」
「どうするもなにも…完全にバレた訳じゃないからな、このままいつも通りで行くつもりだ」
呼び方(あだ名)が変わっていく
鍛冶師ゾノン