入学5
今回は好みが別れる話かもしれない。
「アメリア、お願いできる?」
「う、うん…」
彼女は頷いたが、
かなり恥ずかしそうにしていた。
「無理そうならほかの人にするけど、どうする?」
彼女は首を振った
「せっかくだし…頑張るね。」
俺はその言葉を聞き少し安堵した
(あまり嫌がっていなくて助かった。)
「さて、はじめようか」
俺が始めようとした時…急にアメリアから声が掛けられた
「まって!まってください!まだ、審判は何をするか聞いていないのですが…」
彼女の質問はもっともで具体的に彼女はなにをするのかを伝えていなかったと思い出した
「さっきカルロスが言っていた通りどちらかの棒が手から離れた時又はアメリアが勝敗は着いたと判断した時に力づくで止めてくれればいいよ」
俺が喋り終わった
瞬間勢いよくアメリアが首を振った
「無理です!無理です!無理です!私!剣を扱ったことがあまりないんですよ…」
(俺は…剣すら、握ったことはないが…)
「そうだな…その時は、その時だ。」
「なんで、そんなに適当なんですか~!」
俺はその彼女の言葉を完全に無視した
「カルロス、始めようか。アメリア、掛け声を頼む」
アメリアは自分の話が聞いてもらえてないとわかり、少し頬を膨らませていた
「もう!私の話を聞いてくださいよ…はぁ…両者、準備はいいですか?」
アメリアは嫌々ながらも審判を受けてくれるようだった
「ありがとうアメリア。今度お礼するよ」
「僕も準備できてるよ。掛け声はいつでもいいよ」
カルロスも準備OKと言う掛け声を聞きアメリアは口を開いた
「はじめ!」
その声を聞いたカルロスと俺は足を踏み込み駆け出した。
両者は距離を瞬時に縮め、相手が目の前いっぱいに見えるまでの場所に来た。
そして、二人の間に閃光が走った…
「なかなか…やるな…」
俺の心の声が漏れていたのか、気が付いたら口にだして喋っていた。
俺とカルロスの間には両者の棒が押し合いをしている状態だった。
そして、俺の声を聞いていたカルロスも喋りだした
「君…もしかして…いあ、まさか…」
カルロスは自分の考えが正しいのか確かめるため、押し合いをしていた棒を下段に持っていき。
下段から上段へ力いっぱい振り上げた…すると、俺の手にしていた棒が手から離れ空中を舞った…続けてカルロスは俺のすきを狙い、
自分の頭上に振り上げていた棒を勢いよく振り下ろした…
ゴツンッ!
鈍い音がグラウンドの一角に響き渡った。
俺は今の出来事に目を大きく開いた…
(俺の…剣の腕ははここまで弱いのか。)
自分の弱さを悔やんでいると…
勝者であるカルロスが俺の頭上に乗っていた棒をどかし、口を開いた
「君、剣士馬鹿にしてるの?…今の君は少し力がある赤ちゃんが棒を持った程度の物だった。君…最初強いって自分で言ってなかったか?あれは、どういう…」
『おめえらあ!』
カルロスが喋っている最中に校舎から講師らしき人物が走ってこちらに向かってきていた。
俺はその講師に捕まったらまずいと直感で判断し、
とっさに走り出した…
走り出した時に無意識にアメリアの手を握りしめ、アメリアを引っ張るようにして走り出した。
「え!?ちょ!え!?」
後ろからアメリアの声が聞こえたが俺は急に走りながら笑顔になった。
すると、後ろから走りながら笑い出す声が聞こえた。
二人で走りながら学校を抜け街中の路地裏まで逃げてきていた。
俺はそこまで息は切れてなかったがアメリアの方はかなり疲れたのか息がハアハアしていた
「大丈夫か?」
俺の質問に対してアメリアはハアハアしながら答えてくれた
「だ…大丈夫…ハアハア…」
俺はつらそうなアメリアを見て、背中をさすってあげた…
すると、少し恥ずかしそうにしながらアメリアがお礼を口にした
「ありがと…」
俺はアメリアのお礼に瞬時に答えた
「気にするな」
そして、当然のような質問をしてきた
「どうして、エリック君は…剣を持ったこともないはずなのに…なんで、強いなんて。言ったの?」
「それは…だな…」
これが、世間一般的に青春と、言うものです