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剣術学校の赤点候補生  作者: 暁 皇成
29/78

実戦訓練

新しい章の始まりです!

ご堪能あれ!

優勝者が決まり、残るは下位メンバーによる決勝戦が残っていた。


「そろそろ行くか」


俺は独り言を呟きながら体育館へ戻っていき最後の試合に向けて準備に入った。


(カルロスに決闘を申し込んだ俺が最下位で…決闘を受けたカルロスが優勝者か…笑えないな。)


これから起こりえるかもしれない最悪な状況が頭をよぎった。


俺は準備を整え体育館へ入ったいった。


相手選手は既に準備が終わっているのか、気合十分というような顔をしてこちらを見てきていた…


(相手選手を待たせるのは、俺にとっても相手にとっても得はしないな)


俺は相手選手を待たせていると思い小走りにむかった


「両者、準備はよろしいですか?」


審判係の先生が試合前に最後の確認をとってくれた。


「はい、大丈夫です」


相手選手が準備ができていると答えた、俺はそれに続いて首を縦に振った。


審判はそれを確認した後、口を開いた


「それでは!下位メンバーによる決勝戦!はじめ!」


その言葉で俺は相手より早く仕掛けることにした。


右足を出し一瞬にして相手との距離を詰め、剣を左から右へ神速の一刀を繰り出した…


だが、そんな剣技が俺にある訳もなく…相手との距離を詰めたとたん、俺の剣は宙を舞っていた。


「そこまで!」


審判の声で試合が終了を迎えた…まさに、

『完敗』と言う2文字がふさわしかった。






俺は試合を終えこの場から立ち去ろうとした時、審判に呼び止められた


「エリック君だったよね?今回残念な事に負けてしまいましたが、次回またがんばってください。そして今回は負けは負けですので毎日校長先生の部屋を掃除して成績をあげる努力をお願いします。」


その言葉を残し審判役の先生が体育館を後にした。


(次回またがんばってくれ、か…)


俺は先生がいなくなった体育館で一人…自分が成長できるのか考え込んでしまった。


「外の風でもあたりにいくか…」


俺は思っていた事を口にし、後校舎の屋上を目指した。


屋上の扉を開けた瞬間涼しい風が吹いてきた、そしてそこには珍しい人が顔を伏せ座っていた。


「アメリアか?」


俺はとっさに声を掛けてしまった。


「エリック君?…」


俺の予想は正解したようだったが、アメリアは少し元気がないように感じられた。


「どうかしたか?」


俺はそんなアメリアを見ていられなくなり素直に聞いてしまった。


「エリック君はすごいなって…」


「何がだ」


訳も分からず俺は急に褒められ困惑した


「エリック君は、勝てた?」


「いいや、まったく1勝もできなかった」


俺は嘘つく理由もないので事実を告げた。


「やっぱりすごいね、エリック君は…」


アメリアは俺が1勝もできなかった話を聞いて、なおさら俺を尊敬したようだった。


「俺は1勝もしていないんだぞ?そんな俺のどこに、すごさを感じたんだ…」


正直アメリアはどこか暗い顔をしていた。


「だって…エリック君…表に出したいほど悔しい気持ちのはずなのに…全然そんな事を表に出さないでいるとこが…本当にすごいよ…私なんて、もう…全然…」


アメリアは自分の涙に邪魔されて最後まで語れていなかった。





「アメリア『逆境が人を強くする』と言う言葉を知っているか?人間は逆境を経験しなければ成長はないという事だ。つまり、今回アメリアの敗北はただの敗北では留まらず、アメリアを1段上のステージへ導く道と言う事だ」






俺は自分で喋っていて人にこんなことを言える立場なのか恥ずかしくなってきた。


「エ、エリッグぐん”!…」


するとアメリアはいきなり大声で泣き出してしまった。


俺はそれを見て黙ってアメリアが泣き止むのを空を見て待った。


そして、アメリアは心置きなく泣いたのか目の横に泣き跡が残っていた。


「俺の事は気にするな、もっと泣いていいぞ」


「ううん…もう、大丈夫。恥ずかしいところを見せちゃったね…」


アメリアは恥ずかしいところを見られ苦笑いを浮かべていた。


「気にすることはないと言っただろ。誰にでも泣きたい時くらいはある…」






(泣いてしまえば案外スッキリすることもあるだろう…だが、逆に泣けない人は少しかわいそうに想えてくるな…)

アメリア泣いちまった。

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