剣術大会5
本当に!ギリギリ!やばい!
(確か、これは神々の時代に失った語言だったような気がしたな…意味は…『手放すなよ』だったか?…この話の流れを読み取ると…アメリアを放すな…か?犯人は、ジョセフか…)
俺は犯人が分かった瞬間、
不意に笑ってしまった。
「どうしたの?エリック君」
俺が笑った事に不思議に思ったアメリアが問いかけてきた。
「ああ、あいつがこんなに回りくどい事をするとは、おもっても見なかった」
アメリアが急に驚いた顔をした
「え!エリック君!この文字読めたの!?」
「読めないと答えたら嘘になるな」
俺は答えを濁らせて返事をした。
「それって…読めるってことだよね!?すごい…エリック君はやっぱりすごい…」
「読めるとは言ってないだろ?俺はそこまで知識が多い訳ではない。」
(本当に…ジョセフ…やってくれたな…この文字は普通の人なら絶対に読めない文字だよな…)
「そうなの?…」
俺はコクリと頷いた。
「それで、どんな意味なの?」
興味深々みたいな顔でアメリアが問いかけてきた
「そうだな…」
俺は答えようとしたが、ほんとにそれを口にしていいのか戸惑った。
(これを言ってしまったら、俺が完全に読めると勘違いされてしまうな…それは避けた方がいいだろう)
「すまない…俺じゃ読めないな…」
「そっか…ごめんね?…変な事聞いて…」
アメリアは本当に申し訳ないと言うような顔をしていた。
「大丈夫だ、俺こそ答えられなくてすまないな。」
「エリック君は!悪くないよ…」
アメリアは必死になって俺をフォローしてくれたが、
悪いのは全面的に俺だった。
(読めないなんて嘘をついているからな…完全に俺が悪いんだが…アメリアは優しいな…)
俺はアメリアの優しさに甘えようとしたくなる程だった。
俺はその優しさに甘えてしまうのは簡単だ…
だが、甘えてしまってはいけないと思い至った
(この先、自分が悪くても自分が悪いと認められなくなる可能性がでてきてしまう…)
少し考えすぎかもしれないが、ちゃんと悪い事は悪いと判断したいと心に決めた。
「アメリア、送っていくよ」
俺はそう言い先に階段を降りて行った。
「待ってエリック君…一緒に帰るってことだよね?…」
「そのつもりだが?」
俺は会話を前にもした感覚に襲われた
(前にも…どこかで…)
「先に歩かれたら、一緒に帰るって言わないよ?…」
アメリアが口にしたセリフも前に聞き覚えのある言葉だった。
(そう言えば、あの時か…罰ゲームで俺に近づいてきた子もアメリアと同じことを言っていたな…)
「すまない、これから気を付ける」
俺はそう言い、アメリアの横に並び一緒に帰る事になった。
俺はアメリアを家まで送り、自宅へ戻った。
アメリアを家まで送りに行くのが日課になったようだった。
「おかえりなさいませエリック様」
家を空け、中に入るといつも通りメイドのエーベルが立っていた
「ただいま」
エーベルはニッコリと笑いかけてきた
「今朝エリック様がミーナ様をお探しでしたようなので、ミーナ様がいらっしゃった時にお伝えした所…エリック様の部屋で待っていると言っておりました」
「わかった、伝えてくれて助かったよありがとう」
「いえいえ!私はメイドですので当たり前の事をしたまでです!」
エーベルはそう言いながらも嬉しそうな顔をしていた。
俺はそんな嬉しそうな顔を見てから自分の部屋へ向かった。
デジャブってやつですね。
はい。