間章その一『星波学園の人々』23
★夜衣斗★
……どこからか美羽さんの声が聞えた様な気が……。
周りを見回すがちらほら他の学生がいるだけで、美羽さんらしい姿は確認出来ない。
……気のせいか……さっき部室によってから帰るって言ってたし……まあ、空耳ってやつだろう。
俺が今いる場所は、学園庭園内学園大門前。
下校時間からややずれている為、人はまばらだが、この場にいるほぼ全員が『獲物を狙う獣の様にギラギラした視線を俺に向けている』。
……なんでも、生徒会長の宣言があるまで、無所属の武霊使いへの勧誘は禁止されているらしい。それを破ると、武装風紀委員会が出張ってくるとか………まあ、確かに、学園大門の前にいる武装風紀が、牽制する様に周囲の一般生徒を見ている。
思わずため息が出た。
転校する前とは天と地の差より大きくかけ離れている様な気がする。
基本的に、俺は他人と深く関わりたくない。
だから、こういう状況は、非常によろしくない。
慣れてないせいもあるけど、何だか胃がキリキリする様な………胃潰瘍にでもなりそうだ。
………何と言うか、この町に来てから、逃れようのない事ばかり起きる。
それが俺の変えられた運命だと言うなら、変えてしまえとも思うが………難しいだろうなぁ………そもそも、俺は自分の運命を良く分かっていない。
あの自称最後の敵は、『人の宿命の悪意、もしくはその結果と相対しなくてはいけない運命』とか言ってたが………漠然的には分かる。だが、いや、しかし………。
などと頭を悩ませながら大門をくぐると、大門の前・バス停広場にちょっとした人だかりが出来ているのに気付いた。