間章その一『星波学園の人々』22
★美羽★
「あらあら?……そう、そんなに強い武霊使いなのね?」
愛部長の趣味で埋め尽くされている、表に看板がなければ黒魔術研究会とかそんな部室とかに勘違いしそうな部室の中で、私は夜衣斗さんを捕まえる為の相談を愛部長にした。
反応は……やっぱり、興味なさそうだった。
「強いだけじゃないんです!十年間の武霊の歴史の中で、初めて町に来た日に武霊使いになってますし!夜衣斗さんが来た日に前回の発生から一週間も経ってないのにはぐれが発生しましたし!それに」
「あらあら?はいはい。わかったわかった。凄い子ね夜衣斗君って」
「もう!真面目に聞いて下さい愛部長!」
「あらあら?聞いてますよぉ〜」
とか言って部室にあるDVDプレーヤーを起動させようとしたので、無言で私はリモコンを取り上げた。
流石にこの部屋で愛部長の趣味の映画を見る気にはなれない。
一度、愛部長のお勧め映画を見て(強制)、一週間以上悪夢にうなされた事がある……うう。思い出しただけで鳥肌が!
「でもね。部活に入りたくない人を無理やり入れる事には、私は反対だなぁ〜」
とにこにこと笑いながら、リモコンを奪い取ろうとする愛部長。
「それは分かってますけど……他の部活だってやってる事じゃないですか」
と言いながら、必死にリモコンを死守する私。
「あらあら?よそはよそ。うちはうちです。だから、私は協力しませんよ?」
「う〜そこをなんとか。はぅあ!」
一瞬の油断でリモコンを持つ腕が愛部長に掴まれた。
「駄目なものは駄目です。美羽ちゃんだって分かってるでしょ?ここは自由意思をなにより尊重している部活なのですよ?」
と言いながら、思いっきりリモコンを握っている私の手の指を一本一本はがし始める愛部長。
「……それに、あなただって経験してるでしょ?武霊の秘密を追う者には」
「それは!……偶然です」
唐突に声のトーンを落とした愛部長の言葉を遮って、私は否定の言葉を口にしたけど………言葉が段々と弱くなるのを止められなかった。
「美羽ちゃん………隙あり!」
「あ!」
人が若干落ち込んだ瞬間に、愛部長にリモコンを奪われた。
ヤバい!
「あらあら?そんな事より………とってもお勧めの新作入ったのよ?ね?ね?見よ?見よ?美羽ちゃん♪」
「あ!私、これから大事な用があるんで」
そう言って私は愛部長に背を向けダッシュで逃げようとするけど……部室の入り口の所で、ガシっと何かに両肩を掴まれた。
恐る恐る振り返ると……ローブを纏った骸骨がいた。
サーっと血の気が引くのを感じる。
何度見ても、今回は物凄く近くだから特に、怖い武霊なんですけど……。
これは愛部長の武霊で、死神の様な姿をした武霊『ハクシ』……つまり……
「さあ、さあ、楽しい、楽しい観賞会の始まりよ♪」
必死に抵抗する私をずるずると愛部長の隣まで引き摺るハクシ。
「た、助けて夜衣斗さーーーん!!」