間章その一『星波学園の人々』21
★美羽★
夜衣斗さんの逆鬼ごっこがほぼ決まっちゃった……夜衣斗さんのあの感じだと、今日明日で考えが変わるとは思えないしなぁ。部活・同好会間条約で琴野の再確認まで、部活・同好会所属を本人が望まない限り勧誘はししちゃいけないし………出し抜いて勧誘しようにも、多分、武装風紀委員会の密動部隊が今朝みたいに私を監視しているだろうから、出来ないし………。
本当は、昨日にでも私が所属する部活に誘うつもりだったんだけど……高神兄弟の襲撃のせいですっかり忘れちゃたんだよね……うーどうしよう……って、私が、夜衣斗さんを捕まえればいいんだ……………でも、それって、私に出来るのかな?……夜衣斗さんって、武霊使いになってまだ三日だけど、あの高神麗香を撃退するほど強力な武霊使いだし………んーうん〜………仕方ない。気が進まないけど、ダメ元で部長を説得してみよう。
そう思った私は、夜衣斗さんに先に帰って貰い、部室に向かった。
小中高校門の反対側に、小中高大の部活・同好会の部屋が集まっている棟群があって、私が所属する部活の部室はその中でも最も古い棟の隅にある。
『武霊研究部』。
それが私の所属する部活。
名前の通りに武霊を研究している部活で、武装守護霊発生当時、星波学園創設時からある部活でもあるんだけど………今、部活認定人数ギリギリの四人しか所属していない(最低三人)。しかも、一人は不登校でもう一人は停学中……更に現部長は一切やる気なし………まともに部活をしているのは、私だけになってる。
だから、夜衣斗さんには絶対に武霊研究部に入って欲しくて……部室の前に来たんだけど………うぅ〜やっぱり入りたくないかも……。
実は、今の武霊研究部の部室は、部員が少ない事をいい事に、現部長の私物で埋まってて……いつも部長はその部室に入り浸ってる。だから、ここに来たんだけど……部長の趣味が………。
「み〜は〜ちゃん」
「へ?」
不意に肩を叩かれたので反射的に振り返ると……………ゾンビが目の前にいた。
「!!?!!!?」
声にならない悲鳴を上げて、私は固まってると、そのゾンビは肩を震わせて笑い、顔を剥いだ。
「あらあら?相変わらずいい反応するわね美羽ちゃん」
ゾンビの顔を下から出てきたのは、穏やかな笑みを浮かべている美少女………武霊研究部現部長青葉 愛さんだった。
彼女の趣味は、スプラッターなホラー映画………っで、人にそれを見せて喜ぶSっけの強い性格をしている。見た目は、どこかの令嬢みたいなのに………うう、これさえなければいい先輩なんだけどなぁ………