間章その一『星波学園の人々』20
★夜衣斗★
「黒樹様にして頂く逆鬼ごっこは、黒樹様を自分達の部活・同好会に所属させたい全ての方々が、捕まえる側に回る攻守の数が逆転した鬼ごっこです」
……それって……滅茶苦茶武霊使い側に不利なんじゃ?
困惑のあまり再び美羽さんを見ると、困った顔をされた。
「期間は私の宣言から一週間、星波学園内で、登校から朝のホームルーム・帰りのホームルームから下校まで、各部活・各同好会に黒樹様が捕まり、その部活・同好会の拠点に連れて行かれますと、黒樹様はその部活・同好会に強制的に所属させられる事になりますわ。そして、その一週間を、どの部活・同好会に捕まらないと、黒樹様は帰宅部になる事が許可されますわ」
……なるほど、これはある意味、理に適っている。武霊使いを管理するには、その所属する部活・同好会に、その武霊使いを制御する力がなくてはいけない。そうでなければ、部活・同好会に管理させる意味がないし、反発する武霊使いへの牽制にもなる。何だって最初が肝心だしな………待てよ?だったら、適当な部活に入って、幽霊部員になれば……って、そんな甘い考えは通じないだろうな……。
「なお、適当な部活・同好会に入って、幽霊部員になった方には、それ相応の罰が待ってますので」
そう言ってにっこりと笑う生徒会長。
……まあ、予想通りか……そもそも、思い出して見れば、統合生徒会には武装風紀委員会って言う実働部隊がいるらしいし、個人で逆らえば、数の暴力で実力行使されそうだよなぁ……まあ、流石にそれは、よっぽどの事がない限りないか?
「それでは、明日、星波大門の前で、再び確認を取りますわ。その確認後、どこかの部活・同好会に所属する気になったのでしたら、一ヶ月の猶予期間が与えられますので、その期間中にどの部活・同好会に所属するか決めて下さい……もし、気が変わらないのでしたら、そのまま逆鬼ごっこのスタートを宣言させていただきますわ。よろしくて?」
……あんまりよろしくないが……俺は頷いた。