間章その一『星波学園の人々』19
★夜衣斗★
気が付くと、三人が俺を見ていた。
驚くと、美羽さんと会長は苦笑し、村崎さんはノートパソコンの打ち込みに戻る。
どうやら俺があまりにも無反応だった為に、無用な注目を集めてしまったようだ。
………反省。
「黒樹様が何を疑問に思っているかは、言って頂かなくとも分かりますわ。どうして武霊使いも、所属させている方々も、素直に生徒校則に従っているか?……ですわよね?」
的確に問われたので、俺は素直に頷いた。
心を読まれたと言うより、同じ疑問を何度も聞かれているのだろう。まあ、普通に疑問に思う事か。
「実は、武霊使いを所属させている部活並びに同好会には大きなメリットを得られる権利が与えれるのですわ」
大きなメリットを得られる権利?……ちょっと回りくどい。
「はぐれ武霊の存在はご存じですね?」
そりゃ、まあ、一昨日襲われたから、重々承知してる。ので、頷く俺。
「はぐれは、その具現化を少しでも長く維持する為に、人を襲いますわ。ですから、必然的に、人の密集度の高い場所に、はぐれは必然的に集まってきますの。その為、我が星波学園は……発生タイミングにもよりますが、町以上にはぐれの脅威に晒されているのですわ。それ故に、星波学園に所属している武霊使いには、『星波学園にやってくるはぐれを倒す義務』が課せられていますの」
……って事は……何と言うか、ここってある意味、町以上に危険な場所って気がしてきたな………はぁ。勘弁してくれ。
「そして、はぐれを倒した武霊使いが所属している部活・同好会には、その数や力に応じて部費を増やせる権利が与えられているのですわ」
なるほど、確かにそれなら厄介な武霊使いを、進んで自分達の部活・同好会に入れたくなるだろうが……それはあくまで部活・同好会側のメリットで、武霊使いにはメリットはない様に感じるんだが……。
「このメリットは部活・同好会のみのメリットですので、武霊使いにはなんのメリットもありませんわ。その為、武霊使いの方々の中には不満を口にして部活に所属しないと言う方もいますわ。ですから、そんな方々には、一つのチャンスを、同時に、部活・同好会にはより多くの権利を得る機会を与える生徒校則がありますの………それらを踏まえて、お聞きしますわ。黒樹様は、入りたい部活、もしくは同好会はありますか?」
………困った。どうも、帰宅部って言うと、話からして『なんか』しなくちゃいけなくなるみたいだ……どちらもめんどくさい話だな……………同じめんどくさいなら、最初っから決めていた事をすればいいか………。
首を横に振る俺。
妙な沈黙が生徒会室を支配した。
?
「そうですか………でわ。黒樹様には、『逆鬼ごっこ』をしていただきますわ」
……はぁ?……逆…鬼ごっこ?