間章その一『星波学園の人々』14
★美羽★
帰りのホームルームの後、ちょっと焦げている廊下でまた殊更に絡まれて、また武霊でのけんかになった。
どうしこう、殊更は私によくつっかかってくるんだろう?
彼女、他の人には一切こんな風に接しないんだけどなぁ………。
部活の元先輩は、同類嫌悪だってよく言うけど……同類?……まさかぁ……
などと考えなら回避飛行をしているコウリュウにしがみ付いている私。
琴野とその武霊ヒノカはコウリュウを追尾しながら狂った様に火球とか火の羽根とかを飛ばしてきている。
……殊更殊更って言い過ぎたかな……物凄い剣幕なんですけど……。
流石に言い過ぎたかな?と考え出した時、何となく見た星波高校校舎の廊下に、夜衣斗さんがいるのが見えた。
元々夜衣斗さんに校舎の案内をしようとして、琴野と喧嘩になったんだけど……誰だろう?あの微妙に離れた距離で前を歩いている人………あ!あの人って確か……。
「ストップ!ストーップ琴野!!」
私の大声にピタリとヒノカの攻撃が止まり、コウリュウと共にホバリング。
「……一体なんですの?……今さら謝っても許しませんわよ」
とか言いながら、私の声に素直に従ってるし……まあでも、
「別に許さなくてもいいし」
「何ですって!」
「だからストップだって!校舎の三階!」
再び攻撃しようとしてきた琴野に、私は慌てて夜衣斗さん達がいる廊下を指差した。
「なんですの?…………あら?……まあ!」
不審そうに私が指差した方を見た琴野が、驚いて反射的に私を見たので、私も見返す。
「……………」
「……………」
互いに無言。
そのまま暗黙の了解で喧嘩は終了………それにしても、何であの人が夜衣斗さんの学校案内をしてるんだろう?……あの事件以来、武霊使いが嫌いになって、親友だった黄道先輩を………そんな人が何で武霊使いの夜衣斗さんの案内を……何で?