間章その一『星波学園の人々』8
★夜衣斗★
ホームルームが終わり、高木先生が教室から出ると同時に、前の席に座っていた茶髪ネコ目の男が椅子を反転させた。
……この学校ってかなり校則が緩いみたいだな。さっき教卓から教室全体を見た時、この男みたいに茶髪もいれば、ピアスをしている者もいたし、女性は薄く化粧もしている様だった。
「俺、村雲 勇人ってんだ」
と茶髪ネコ目の男・村雲は親しげに声を掛けてきた。
こういうタイプは苦手なので(まあ、得意なタイプなんかいないかもしれないが)、ちょっと戸惑いながら俺は頷いた。
「聞いたぜ。この町に来て直に武霊使いになった上に、あの剛鬼丸とか、高神姉弟を倒したんだってな」
その村雲の問いに、教室中の視線が俺に集まる。
っう!?勘弁してくれ………。
「いや、俺もこの間まで武霊使いだったからよ。あの連中の強さは半端じゃねぇの知ってんからよ。マジすげぇな」
?………武霊使いだった?はぐれ化が起こる程の怪我を負ったって事か?
「……実を言うとよ。俺、春休みの時に武霊を奪われててよ。先週まで意識不明で病院に入院してたんだよ。っま、だから、黒樹と一緒でこのクラスに慣れてなくてよ。同じ状況の奴が出来てほっとしてんのよ……まあ、そんな訳で、慣れてねぇもん同士、仲良くやろうや」
まあ、仲良くする事はやぶさかじゃないから、とりあえず頷く。
……それにしても……どうやら、高神麗香以外にも武霊を奪い取れる武霊使いがいる様だ。しかも、こっちは無傷で奪えるタイプ……か。ん〜関わりたくないが……この町にいる限り、関わらないって事はないだろうな……ため息が出る。