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間章その一『星波学園の人々』7

  ★夜衣斗★

 身体のどこかの器官が失われれば、他の器官がそれを補おうと発達する。って話は聞いた事があるが……何と言うか……高木先生は凄かった

 俺に先行して教室まで歩いたのだが……杖を突きながらだが、健常者と変わらないスピードで歩き、階段もさっさと歩く。本当は見えてるんじゃないかと疑いたくなる。

 なんでも、十年以上、この学校の創設時からいるから、もうどこになにがあって、なにがないか覚えているそうだ。

 ……漫画とかでしか見た事がない様な人だな……。

 などと持っていると、これから俺が日々通う事になる教室の前に付いた。

 各教室を閉めると曇りガラスになる特殊なガラスで、廊下と教室が隔たせてあるらしいんだが……当然、曇りガラス状でも影は見えるので、ここに来るまでかなりの視線を感じた。しかも、通った後、必ずがやつきがあり……どうやら、美羽さんの言った通り、本当にもう俺の話は広がってるらしい。

 目の前にある教室からも、視線を物凄く感じる上に、がやつきも一際大きく聞こえてくる。

 高木先生が教室のドアを開けると、ぴたりとがやつきは消えたが……何だか入るのが物凄く躊躇われる。

 ……ああ、心臓が痛い。胃がきりきりする……帰りたくなってきたな。

 そんな事を思っている事を知らない高木先生(先生だから気付いてはいそうだが)は、教室のドアを開けてさっさと中に入る。

 教室のドアが開かれた瞬間、曇りガラスが一瞬でクリアになったので、向けられていた視線をダイレクトに感じ、つい生唾を飲んでしまった。

 ……マジで帰りたい。

 「黒樹君」

 名前を呼ばれたので仕方なく教室に入る。

 「ホームルームを始める前に、紹介するわね。ご両親の都合で星波学園に転校してきた黒樹夜衣斗君よ。名前を黒板に書いてくれる?」

 そう言って高木先生は黒いチョークを俺に渡した……黒いチョーク?

 よく見るとチョークではなく、チョーク型のデジタルペンだった。そして、黒板も液晶タッチパネルになっている様で……どこから資金を捻出してるんだろうか?

 「黒樹君?」

 高木先生の呼び掛けに促され、俺は液晶黒板に名前を書いた。

 汚い字なので恥ずかしくなる。

 「………黒樹夜衣斗です……よろしくお願いします」

 「はい。じゃあ、窓側の一番後ろにあなたの席を用意してあるはずだから、そこの席に座ってくれる?」

 視線を言われた場所に向けると、確かに席が一つ空いていた。

 ドキドキしながら空いている席に着く。

 ……窓側の一番後ろって……いや、まあ、どうでもいいか。

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