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第一章『武霊のある町』44

  ★???★

 大原亮は目を覚ました。

 悪夢の様な高神姉弟の断片的な記憶。

 それを見たせいで、うなされていたのだろう。

 着ている服はぐっしょりと濡れ、頬には涙の気配があった。

 周りを見まわし、ここが自分の部屋である事を確認した亮は、着替える為に寝かされていたベットから出ようとした時、部屋に誰かが入ってくる気配を感じた。

 亮が視線を向けると、そこには亮と共に高神姉弟と対峙した亮の恋人・朝日(あさひ) 竜子(りゅうこ)がタオルと洗面器を持って立っていた。

 「りゅ」

 亮が竜子っと言おうとした瞬間、竜子から洗面器を思いっきり投げられ、頭にクリーンヒットする。

 水も入って為、ベットまでもがぐっしょりと濡れてしまった。

 「いき」

 いきなり何をする!?と言う前に、竜子にタックルに近い勢いで抱き付かれ咳き込む亮。

 ぎゅっと強く強く抱き付く竜子。

 「竜子。濡れるって」

 「馬鹿!馬鹿亮。心配したんだかね!!」

 亮の言葉を遮って、竜子は怒鳴る様に言葉を重ね、抱き付いたまま、きっと亮を見上げ睨み付ける。

 その竜子の目に涙が溜まる。

 「馬鹿だな。心配する事も、泣く事もないだろ?……いつもの事なんだから」

 そう言って竜子の頭を撫でる亮。

 「いつもの事じゃない!今回は普通の武霊じゃなくて、精神異常者の武霊を喰ったんだよ!!うなされ方もいつも以上に酷かったし!もし!もし!亮が飲まれちゃったら!!もし!亮が変わっちゃったら!!」

 そこまで言って、竜子は亮の胸に顔を埋め、声を上げて泣き出した。

 「ごめん。ごめん竜子」

 そう謝りながら、亮は竜子の頭を撫で続けた。

 (それにしても……)

 心の中で亮は先ほどまで見ていた高神姉弟の断片記憶を反芻した。

 非常に不愉快で、怒りの込み上げてくる過去だったが、ある意味では亮の予想の範囲内だった。あれほど狂った人間を生み出すなら、それくらいの過去があるはずだと思っていたからだ。

 だから、そんな記憶より、亮は気になる事があった。

 麗華の記憶の最後に少しだけ出てきた、麗華をあそこまで追い込んだ武霊使い。

 (初めて見る顔と武霊だった………そうか、あいつが昨日、美羽と一緒にはぐれ化した剛鬼丸を倒した例外武霊使いか……名前は……黒樹夜衣斗だったか?……気の毒に………こんな『絶望的な町』に来てしまうなんて)

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