表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/471

第一章『武霊のある町』40

  ★???★

 日々繰り返されるのは、他人の欲望のはけ口とされる堕落した行為。

 望む、望まないにも関わらず、その行為を彼女は受け続け、

 目が腫れるほど涙を流しても、

 声を枯れるほど叫んでも、

 手が腫れるほどドアを叩いても、

 その行為は強要され続ける。

 彼女に許されるのは、欲し続ける事だけ。

 ベット以外に唯一あるテレビ。

 そこから得られる外の情報。

 彼女はただただ欲し続けた。

 欲しい。

 欲しい。

 全部欲しい。

 この世の全てが欲しい。

 おれも欲しい。

 これも欲しい。

 それも欲しい。

 でも、手に入らない。

 何故なら、彼女は弱い人間。

 昨日も、今日も、明日も、奪われ続けるだけの弱い人間。



  ★夜衣斗★

 謎の電動車椅子の男は、喉の傷のせいで本当に喋れないらしく、電動車椅子に付けられているノートパソコンに言葉を打ち込んで、自身の代わりに喋らせている様だった。

 人工音声なのだろうが、機械らしさは僅かしか感じさせない。

 かなり興味をそそられるが、今はそんな事を気にしている場合じゃないな……。

 俺が今いる場所は、春子さんの家の近くにある小さな公園。

 滑り台の柱に背を預け、正面にいる電動車椅子の男と対峙していた。

 「「まずは、おめでとうとでも言うべきかな?」」

 ……そりゃどうも。

 「「これで君はまた一つ過酷な運命を乗り越える事が出来たわけだ」」

 ……まるで俺の運命を知ってるみたいな言い様だな。

 「「知ってるさ。僕はある程度、予知が出来るからね」」

 予知?……超能力者?

 「「まあ、言い様によってはそうだな。もっとも、予知出来るとは言っても、『断片的』な上に、『自分に関連する事』以外、見る事が出来ない」」

 ……つまり、俺の『過酷な運命』ってやつに、『あんたが組み込まれている』って事か?

 「「正確には、『本来昨日死ぬべき君が生き残った事で、僕の運命と交差してしまった』、だ」」

 ?

 「「今は理解できなくてもいい。だが、これだけは理解して欲しい。僕と君の過酷な運命は、『人の宿命の悪意、もしくはその結果と相対しなくてはいけない運命』だと言う事を」」

 人の宿命の悪意?その結果?

 「「そうだ。人は、常に宿命の様に悪意をその身に宿し、常に相対しながら歴史を刻み、重ね続けている、そして、人は、その宿命の悪意に打ち勝って、文明・文化を作り、社会を構築し、国を築き上げた。だか、打ち勝ったからと言って、宿命の悪意が消えたわけでもなく、今も人の中で人を呑み込む勢いで肥大化している。意図的に、無意識に」」

 ……………それで……今回のどこ部分に、その宿命の悪意が関わっているって言うんだ?

 「「………高神姉弟は、星波町に来る前、『地下売春組織によって売春を強要されていた』」」

 ……………はあ!!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ