第一章『武霊のある町』24
高神の予想通りの言葉と共に、一斉に武霊達がそれぞれの能力・機能で攻撃し始めた。
炎・電撃・水撃・真空刃などなど……。
シールドサーバントによって完全に守られているとは言え、怖いものは怖い。
……早めに決着を付けるべきなんだろうが………問題がある。それは、次の一手である『あれ』が、どれほどの意志力を消費するか分からない。って事だ。
美羽さんの話によると、武霊の具現化は、『物理現象からかけ離れればかけ離れるほど、意志力の消費が多くなり、当然、その維持の消費も多くなる』……らしい。
……少なくとも、かなり気合いを入れなくちゃいけないのは……間違いない。
となると……ちょっと恥ずかしいが……まあ、そんな事を言っている場合じゃないな。
俺は自分で作ったオウキの物語の一シーンを心に描く。
「今こそ!」
大声で、そのシーンでオウキが仕えていた王が言ったセリフを言う。
シールドサーバントの力場に囲まれているから、音は外に出ていないだろうから……まあ、恥ずかしさは多少は軽減されるな。
「そのもう一つの名の意味を知らしめる時!!」
俺の言葉に合わせて、五体の武霊に抑え込まれていたオウキが、ゆっくりと動き始める。
「ライオンハート機関フルドライブ!」
その言葉と共に、オウキの装甲全体に黒い線が走り、一気に武霊達を振り解く。
武霊達の攻撃の隙間から、高神が驚く顔が見える。
「シールアーマー解放!」
立ち上がったオウキの鎧が、黒い光線が走る場所から開き、そこから黒い光の霧の様な物が出てくる。
黒い光の霧は、一気にオウキを覆い隠す。
「オウキは、王の機械。オウキは、王の騎士」
オウキを包んだ黒い光の霧が、徐々に形を変え始める。
「そして、オウキは、王の鬼」
黒い光の霧が完全に固着化し、オウキの姿が黒い大鬼の様な姿になった。
「オーバードライブモード解禁!!」