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プロローグ5

 今までの人生の中で一度も経験した事がない状況に、俺の動悸は激しくなり、頭がくらくらし出す。

 正直、現実感がない。だが、骸骨犬から発せられる炎の熱気、アスファルトが焦げる臭いが、否応無しに俺をこれが現実だと自覚させようとする。

 吐き気がする。

 骸骨犬の鋭い牙は勿論、その足先にある鋭そうな爪、全身から出ている炎、そのどれもくらえば大怪我。いや、絶対にそれだけでは済まない。殺され、喰われる。

 そんなの絶対に嫌だ!

 その強い思いが、俺に覚悟を決めさせた。

 すると、動悸・めまい・吐き気がすうと消える。

 コンビニ袋が当ったという事は、物理的な存在だという事。なら、倒す事だって出来るはずだ。

 周りを見るが、武器になりそうな物は一切ない。

 手には携帯を持っているが、投げた所で、警戒されている今の状態ではあっさり避けられるだろう。

 ……なら、腕一本を犠牲にして……壁に叩き付ける。

 正直言って、この時の思考は危機的状況も相まって、普段の俺とはかけ離れた結論を導き出していた。

 要するに、キレていたわけだ。

 もし、このまま状況が変わらなければ、俺は確実にそれを実行していたと思う。

 だが、それを実行する前に、唐突に視界が塞がった。

 「やれ、剛鬼丸」

 同時に聞こえた頭上からの声。

 視界を塞いだもの急激に前へと動き、同時に犬の悲鳴が聞こえ、パキンと何かが割れる音がし、ドチャと何かが落ちる音。

 視界を塞いでいたものの全容が見えた。

 それは、二メートル以上はある鎧甲冑だった。

 教科書とかで見る戦国武将が着ている様なやつ。

 その足元には、頭部が無くなった骸骨犬が倒れている。

 俺が唖然としていると、その鎧甲冑が振り返った。

 目に映ったその顔は、『鬼』だった。

 ……これは、助かった……んだよな?

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