表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
471/471

第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』77

  ★夜衣斗★

 不意にスピーカーから緑川姉妹の声が聞こえなくなった。

 その事態に流石の緑川姉妹も戸惑いの表情を見せる。

 俺が確認を取るより早く、早見さんから連絡が入り………自警団本部が襲撃されたとの事。

 ………まあ、地面の下までシールドは張ってないからいつかはシールド内部に襲撃を掛けてくるとは思ったが………このタイミングでとは思わなかったな………やっぱり向こうの方が一枚上手か?

 そんな事を思いながら、俺は特に何もせず、緑川の様子に注視した。

 何故なら、シールド内部でどこが襲撃されても対応出来る様に準備済みだったからだ。

 ………まあ、強いて問題があるとすれば………やる気満々のあの子達ぐらいか………


  ★???★

 自警団本部が襲撃されたのは、緑川姉妹が兄の恥ずかしい秘密を暴露し始めてから少し経った後だった。

 夜衣斗の予想通り、地中を進みシールド内部に侵入した武霊使い達は、すぐさま自身の武霊を具現化し、町の各所のスピーカーに繋がる配線を切断した。

 三島忠人の当初の予定では、緑川響のフレイムワールドが駅周辺に張っているシールドを燃やした後、地上・地下から同時侵攻するはすだった。

 だが、緑川が予想外の足止めをし始めたので、タイミングを見計らって地下を掘り進めていた武霊使い達は先行する形で襲撃してしまう。

 これは三島忠人が命令の盗聴を懸念し過ぎた事により、襲撃タイミング・場所を予測されない様に地下襲撃メンバーの中に一切の通信手段を持たせず、三島忠人側からも新たな追加命令をしなかった為に起った。

 もっとも、三島忠人はそれでも問題ないと考えていた。

 何故なら、三島忠人にとって意図は不明だが、夜衣斗の何らかの思惑が緑川姉妹の放送を妨害でき、自警団本部を奪い返せば駅周辺での笛の音を再開する事が出来る。

 武霊を展開しながら地面から出てきた武霊使い達は自警団本部にゆっくり近付く。

 自警団本部に配置されている者を警戒しての動きだが、その本部周辺の商店街店舗から出て来たのは、PSサーバントを着た十二神将の子供達だった。

 普通なら、子供達が出てきた事に驚くだろうが、催眠状態にある武霊使い達は特に驚かず、代わりにスピーカーから催眠の笛の音が聞こえてこない為に正気に戻っている武霊達は戸惑いの様子を見せる。

 そんな武霊達の様子を気にも止めず、武霊使い達は自身の武霊達を子供達に向けようとした。

 だが、その時、

 「あらあらぁ~持ち場に居ないと思ったらぁ~、こんな所に居たのねぇ~」

 と言いながらPSサーバントを着た屋写あぐりが自警団本部から現れた。

 一斉にびくっとなる十二神将の子供達。

 実は十二神将の子供達の本来の持ち場は、商店街ではなく、星波駅近くにある第二地下避難シェルター周辺。

 夜衣斗が考える最も最後に侵攻されるであろう場所だった。

 その事を夜衣斗は子供達には言ってはいないが、その事を気付いた一部の子供達が、戦力に余裕が無いのに結局自分達を戦わせない事を選んだ事に不満を覚え、勝手に持ち場から離れ、最も狙われるであろう自警団本部の警護をしていた。

 しかし、彼らは失念していた。

 シールドが張られた星波駅周辺が襲撃された場合、残された戦力で防衛しなくてはいけない。

 そうなると必然的にあぐりが出てくると言う事を。

 寮暮らしではない夜衣斗は知る由もないが、あぐりは怒らせてはいけない寮母として寮生の中で有名で、かつ、その退魔士能力・夜叉を発動した時、

 「こいつはお仕置きが必要だなあぁあ!?」

 不意におっとりした口調と表情から、鬼の様な荒々しい口調と表情になり、十二神将の子供達の顔を青くさせた。

 彼女の性格は豹変する。

 そして、その姿を一気に猫の半獣の姿にと変化させた。

 実は猫神奈子だけは十二神将の子供達とは別行動を取っており、他の子供達が勝手に持ち場を離れた事を誤魔化す役割を引き受けていたのだが、当然ばれて現在お仕置き中(正座)。

 その彼女から直接髪の毛を少し食べた後、芽印により自警団本部に送られ、現在に至る。

 猫の半獣と化したあぐりに、ターゲットを変更した武霊達が殺到。

 「遅え!」

 あぐりは後ろに大きく跳び、建物の壁を蹴り、一気に下降。

 武霊達の間を猛スピードですり抜け、その際に二体を伸びた両手の爪で切り裂き、霧散させる。

 「逃げんなよ!」

 着地した先にいた丑神剛をそう脅し、硬直する剛の頭をがっしり押さえ、髪を噛み切り飲んだ。

 瞬間、あぐりは牛の半獣となり、迫って来た武霊の一体を腕を掴み、振り回す。

 更に近付いて来た武霊達を巻き込み、吹き飛ばし、武霊使いに向けってぶん投げる。

 流石にそれに巻き込まれる訳にはいかないので、投げられた武霊の武霊使いは具現化を止めた。

 その瞬間、いつの間にかその武霊使いに接近し、しかも行き掛けに巳神義の髪を食べていたのか蛇の半獣と化したあぐりが、蛇の軟体でその武霊使いに巻き付き、一瞬で締め落とす。

 意識を失った武霊使いから素早く離れ、捕まえようとした人タイプの武霊に巻き付き、首筋に噛み付いて毒を注入した。

 毒を注入された人タイプの武霊は、瞬く間に霧散。

 あぐりはそのまま近くにいた武霊使いに巻き付き、首を絞めて意識を落とした。

 そして意識を失った武霊使いをそのまま盾に使い、あぐりの強さに警戒し始めた残った武霊と武霊使いと対峙する。

 武霊使い達の意識が完全にあぐりに集中した瞬間、

 「みんな!今だ!」

 子神弾の合図で一斉に十二神将の子供達が半獣化し、それぞれがそれぞれの特徴の技を使って武霊・武霊使いに飛び掛かり、武霊を霧散させ、武霊使い達を気絶させた。

 これにより自警団本部を襲撃した武霊使い達は全滅したが、

 「あなた達ぃ~」

 退魔士能力を解いていつもの感じに戻ったあぐりの声にびくっとする子供達。

 「手伝ってくれてぇ~ありがとうねぇ~」

 あぐりのお礼の言葉に、ホッとする子供達だったが、

 「でもぉ~………それで許すと思ってんのかこのクソガキども!」

 退魔士能力も使ってないのに再び荒々しい口調と表情になったあぐりに、

 「「「ご、ごめんさなぁ~い」」」

 一斉に逃げ出す子供達だったが、ほどなくして全員捕まり、先にお仕置き中の奈子同様にしばらく正座かつ長いお説教される事になった。

この作品は現在『武装守護霊』と言うタイトルでリメイクしております。

本来なら削除すべき作品なのかもしれませんが、自分に対する戒めの意味も込めてこの場に残させて貰っています。

もしよろしければ、リメイク作である武装守護霊を見て頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ