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第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』63

  ★夜衣斗★

 (それにしても………よく愛っちを倒す事が出来たな?)

 PSサーバントの接触通信を利用して村雲がそんな事を言ってきた。

 接触通信は、PSサーバントを着た者同士が触れる事により可能になる通信で、触れた者同士しか通信出来ない上に、思考による通信なので扱いが難しい。もっとも、その分、他の誰かに聞かれる事もないので、機密性は非常に高く、隠れている時などには非常に重宝するはずの機能だが………村雲、使いこなすのが早すぎだって………と言うか、

 (………愛っち?)

 (ん?ああ、青葉愛の事だよ)

 ………まあ、なんでもいいが………

 (………青葉さんに勝てたのは………まあ、運が良かったんだろうさ)

 (運ね………運でどうこう出来るレベルじゃないんと思うんだがな………)

 いまいち俺の説明に釈然としない感じの村雲だが、俺自身もよく分かってない事や、話せない事を誤魔化しながら喋れる自信はないので、黙る。

 ほどなくして、駅周辺のスピーカー破壊が終わる報告が入り、俺はシールドサーバントによる駅周辺の完全隔離を多重に行った。

 そして、村雲には聞こえない様に通信回線を開き、シルフさんに休む様に連絡。

 シルフさんにはPSサーバントを装着させていなかったので、間接的なやり取りだったが………あの感じだとシルフさんは今回はもう駄目だな………今にも気を失いそうなほど消耗してる様だったし……………まあ、予想の範囲内だからいいが…………。

 そんな事を考えていると、先見さんの予知と同じ、星波町住民の避難が始まった。

 さて………ここからは瞬間的な読み合いが重要になってくるが………………果たして俺は勝てるんだろうか?………いや、そんな心配を今しても仕方がない。

 避難をしている人達の避難が、操られているせいもあってか直ぐに終わり、終わると同時に星波町各所から編隊を組んだ武霊使いと武霊がぞくぞくと現れ始めた。

 ………いよいよか………

 思いっきり深呼吸し、全員との通信回線開く、

 「………もうすぐ作戦の第三段階に進みます………分かっているとは思いますが………全員無理はしないでください」

 そう言って、一旦通信を切り、村雲の肩に手を置く。

 「………さっき言った通り………頼む村雲」

 「ああ!任せろ!武霊使いとして先輩だった俺の実力を見せてやるよ!」

 村雲はそう言って………多分、にやりと笑ったんだろう。

 俺は今の様な状況で笑うなんて事はとても出来ないので………かなり頼もしく見えるな………

 そんな事を思いつつ、

 「キバ!PSサーバントリンクモード!PSサーバントジェネラルモード」

 そう命令すると、俺のPSサーバントのマントがいくつものケーブルに変化し、次々とキバに接続される。

 同時に、俺の視界が現実と仮想空間の二つに増え、仮想空間にはスカウトサーバントとPSサーバントから送られて来る映像と、それら映像やスカウトサーバントが集める情報を分析・統合したいくつもの映像が現れた。

 キバと繋げる事により可能になるPSサーバントのジェネラルモードは、名前の通り、軍を指揮する為のモード。

 一遍に大量の情報を処理出来るモードなんだが………あまりの情報量に自分の身がおろそかになる欠点がある。

 だから、星波町の地理にも明るい村雲にキバの命令権を一時預け、俺は指揮に集中する事にした。

 ………正直、俺が大勢の人を同時に指揮する事態になるなんて考えもしなかった事だが………………やるしかない!

 俺が心の中で気合を入れると同時に、武霊・武霊使いの編隊が進軍を開始する。

 「………第三段階開始!」


  ★???★

 武霊と武霊使い達の進軍する様子を遠見の武霊能力で見ながら、三島忠人は思考を巡らせる。

 夜衣斗達の攻撃手段が不明なのは先程と変わらないが、その攻撃のどれもがこちらから見えなくさせた後に行われているので、何らかの見せたくない理由がある事は分かった。

 その理由は不明だが、それは即ち大規模な攻撃が出来ないと言う事。

 GMサーバントのガスによる視界封じは、ガスであるが故に簡単に除去する事が出来る。

 その事をあの夜衣斗が気付かないはずは無く、だとすればもうその手は使わない。

 残った方法はシールドサーバントによる武霊隔離。

 この方法では中でどんな方法を使うにせよ、大規模な攻撃は出来ない。

 つまり、数で押してしまえば、簡単に崩せる戦法だと言う事だ。

 もっとも、三島忠人はそんな単純な事で終わるとは思っていない。

 つまり、これからの戦いは互いの手の内を先に晒し尽くした方が負ける。

 「さて………これだけの戦力差。君はどう引っ繰り返すつもりでいるのか………まずはお手並み拝見と行こうか?」

 そう言って三島忠人が向ける視線の先には、バイクモードのキバに村雲勇人と共に乗って疾走する夜衣斗の姿があった。

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