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第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』50

  ★???★

 次に立ち上がった人達に、夜衣斗は何とも言えない表情になった。

 何故なら、全員が全員どう見ても家族ぐるみでいる様だったし、その何人かが学園で教師として見た事がある人達だったからだ。

 (………考えて見れば、退魔士の子供達を養成する為に星波学園が作られたのなら、教える側にもそれなりの退魔士が必要になる………つまりそう言う関係でこの人達は星波町に来ているのだろうが………)

 「あ!言っとくけど、この人達は琴野家の資金援助が目的でここにいるわけじゃないわよ?」

 微妙な雰囲気を張っていた夜衣斗に春子がそんな事を言い出した。

 「この人達は、鯉の会の実働メンバーで、かつ、元正式退魔士だった人達なの」

 「………どう言う事です?」

 「どうもこうも、この人達は星波学園創設の為に集められた先行メンバーだった上に、元から鯉の会のメンバーだった人達で、星波町に残る為に正式な退魔士を止めてくれた人達なのよ」

 「………正式な退魔士って辞められるんですね………」

 「そりゃ弱小退魔士家系は、五大退魔士家系のせいで回ってくる仕事が少ないからね」

 あっけらかんとそんな事を言う春子に、夜衣斗は呆れが含んだ溜め息を吐いた。


  ★???★

   二十四、『木世(きせ) (はじめ)

   二十五、『木世 富美(ふみ)

   二十六、『木世 一二三(ひふみ)


  ★夜衣斗★

 星波学園高等部国語教師の夫に、星波学園小等部教師の妻、星波幼稚園に通う娘の三人家族。

 夫の一さんは『五行化身』と呼ばれる退魔士の間では有名な五系統家系の出身で、五行化身は異様なほど強力な退魔士能力である為か、継承確率が他の退魔士に比べてかなり低い家系らしく、現在能力を発現させたのは彼だけ。その為、必然的に一さんが正式退魔士になったとの事。

 もっとも、いくら強力な退魔士能力を有していても、五大退魔士家系とその傘下に入っている退魔士家系以外の正式退魔士には滅多に仕事が回ってこないらしく、仕方なく教師になったとか。っで、星波学園に来る前の高校で、当時高校生だった奥さんの富美さんと出会い………在学中に強引に奥さんの方から結婚を申し込まれ、押し切られる形で結婚したらしい………どっかで聞いた様な見た様な話だな………まあ、とにかく………その後富美さんも教師になり、二人して星波町に来て、鯉の会の要請で正式な退魔士を辞めて星波町に残っている。

 ちなみに富美さんは弱い超能力者らしく、木と何となく会話が出来る為、同系統の退魔士能力を持つ一さんに惹かれた様だ。

 退魔士能力は、『木業(きぎょう)

 木を操り、木を生み出し、あらゆるものを木と化す退魔士能力。

 木が生えていない地帯とかで重宝されそうな能力だが、何でも魔法によって無から生み出された物は、余程条件が整わない限りその存在が定着しないそうだ。まあ、本来ならそこに存在しない物なのだから当たり前と言えば当たり前か………

 武装守護霊は三人ともなしだが、『五行刀』と言う五行思想を体現させる魔法刀を持っているらしく、相生・相剋などをそれを介して出来るとか…………それにしても五行ね…………考えて見れば、世間一般では陰陽師とかって退魔士みたいな扱いをされてるよな………でも、出来る事から考えると、陰陽師は魔法使い系ぽい様な………?


  ★???★

   二十七、『火結(ひけつ) 桃子(ももこ)

   二十八、『火結 太郎(たろう)

   二十九、『火結 桃太郎(ももたろう)


  ★夜衣斗★

 星波学園中等部体育教師の妻に、同じく学園中等部で保健医をしている夫、学園小等部一年の息子の三人家族。

 妻の桃子さんは、『五行化身』と呼ばれる退魔士の間では有名な五系統家系の出身で、五行化身は異様なほど強力な退魔士能力である為か、継承確率が他の退魔士に比べてかなり低い家系らしく、それ故に血の維持の為に同じ血族の者の中から結婚相手が選ばれ、無理矢理結婚させられたとか。もっとも、二人とも互いに憎からず合ってた仲だったので…………無駄にラブっててウ……………っで、同じ事を息子の桃太郎も思ってる様で、小学一年ながら大人びた呆れた表情を見せていた。若干同情。

 退魔士能力は、『火業(ひぎょう)

 火を操り、火を生み出し、あらゆるものを火と化す退魔士能力。

 寒い地方とかで重宝しそうな能力だが、消耗が激しいらしく長時間は無理だとか………火だからか?

 武装守護霊は三人ともなしだが、木世さんと同じく『五行刀』を持っている。つまり、五行化身と呼ばれている退魔士の家には必ず一振りはあるって事か?

 


  ★???★

   三十、『土帝(つちみかど) 冬四朗(とうしろう)

   三十一、『土帝 のん』

   三十二、『土帝 かのん』

   三十三、『土帝 ゆのん』


  ★夜衣斗★

 星波学園大学部教授の夫に、星波学園食堂統括栄養士兼調理師の妻、中等部二年の二卵生の双子の女の子の四人家族。

 夫の冬四朗さんは『五行化身』と呼ばれる退魔士の間では有名な五系統家系の出身で、五行化身は異様なほど強力な退魔士能力である為か、継承確率が他の退魔士に比べてかなり低い家系らしいが、特に何か対策を取ると言う訳でもなく、のんさんとは恋愛結婚なのだそうだ………まあ、家柄だろうな………冬四朗さん。やたらとのん気だし………

 妻ののんさんは、料理限定の予知能力者らしく、自分の作ろうとしている料理の結果をある程度知る事が出来るとか………何と言うか………やたらと平和な能力と言うか………まあ、料理人にはかなり重宝しそうな能力だよな………っで、双子の娘さん達は、父親の能力を受け継いでいるらしく、父親ほどではないが同じ能力を使えるとの事。

 退魔士能力は、『土業(つちぎょう)

 土を操り、土を生み出し、あらゆるものを土と化す退魔士能力。

 土木作業とかに便利そうな能力だが…………土ね…………ふむ…………

 武装守護霊は四人ともなしだが、やっぱり『五行刀』を持っている。


  ★???★

   三十四、『金黙(きんもく) (べに)

   三十五、『金黙 (そう)


  ★夜衣斗★

 星波学園警備部責任者の妻に、その部下の夫の二人家族。

 妻の紅さんは『五行化身』と呼ばれる退魔士の間では有名な五系統家系の出身で、五行化身は異様なほど強力な退魔士能力である為か、継承確率が他の退魔士に比べてかなり低い家系らしく、その為他の退魔士家系の退魔士能力を取り込もうと昔から積極的に他家から嫁・婿を取っていて、蒼さんも同様らしく、しかも立場的に金黙家より弱い家からの婿養子な為か、妻である紅さんに媚び諂っている。紅さんは無口な性格らしく、何も言ってはいないが………なんとなくその事を不満そうにしている様な気がする。

 夫の蒼さんの退魔士能力は、『電人(でんじん)』と言う自身を電気にしたり、電気を操る能力らしく、旧姓は『電渡(かみなりわたり)』だとか………聞く分にはとんでもなく強力な能力な気がするが………それでも弱い立場ね………

 退魔士能力は、『金業(きんぎょう)

 金を操り、金を生み出し、あらゆるものを金と化す退魔士能力。

 金と言っても黄金を生み出すのは難しい上に、禁止されているとか………まあ、生み出した所で、時間が経てば消えてしまう訳だから………なるほど、だからか………

 武装守護霊は二人とも無しで、当然『五行刀』を持っている。


  ★???★

   三十六、『水錬(すいれん) 鋼騎(こうき)

   三十七、『水錬 (あや)

   三十八、『水錬 剛騎(ごうき)

   三十九、『水錬 彩音(あやね)


  ★夜衣斗★

 星波保育園の保育士の夫に、星波幼稚園の教員の妻、小等部四年の兄、同じく小等部一年の妹の二人兄妹の四人家族。

 夫の鋼騎さんは『五行化身』と呼ばれる退魔士の間では有名な五系統家系の出身で、五行化身は異様なほど強力な退魔士能力である為か、継承確率が他の退魔士に比べてかなり低い家系らしいので、近……………あ~………まあ、今の世の中じゃ大っぴらに言ったらまずい事だよな………………忘れよ。うん。それがいい。ちなみに何の因果か、四人が四人全員妙に妖艶な雰囲気をただよさせていて…………俺としてはちょっとお近付きになりなくない人達で…………あ!だから幼稚園・保育園に勤めているのか………

 四人とも同じ退魔士能力を持つが、鋼騎さん以外はそれほど強力ではないらしい。

 退魔士能力は、『水業(すいぎょう)

 水を操り、水を生み出し、あらゆるものを水と化す退魔士能力。

 ふと思って、魔法で作られた水って、飲んだ場合はどうなるんですか?って聞いたら、何でも飲んでしまうと、その人の意志力で自然と安定化するらしく、時間が経つと体内から消失するって事はないらしい………つまり、魔法で創造した物が安定する条件として人間の身体は最適なものの一つって事か………

 武装守護霊はなしで、もちろん『五行刀』を持っているらしいが……………ん~………


  ★???★

 「………なんで五行化身の人達は武霊使いになってないんでしょうね?」

 五行化身の退魔士達の自己紹介の後、ぽそっと夜衣斗がそうつぶやくと、それを聞いた春子が首を傾げた。

 「別におかしなことじゃないでしょ?星波町全体で考えたって、武霊使いになってるのは大体十パーセントぐらいよ?」

 「………だからと言って、五つの家族が全員武霊使いじゃないと言うのは………ちょっと不自然な気がするのですが………」

 「考え過ぎじゃない?武霊が憑く条件だって、まだよく分かってないんだからさ」

 「………そう………ですね」

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