第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』44
★???★
二、『早見 芽印』
「は~い。次はマスメディア部エース兼部長早見芽印ちゃんでぇ~す」
そう言って立ち上がった芽印に、ほぼ全員からうんざりした視線が向けられ、それで芽印がどう言う人物か大体理解した夜衣斗はミニノートに何事かを書きながら、ぽそっと
「………春子さんと同種と」
「って、聞き捨てならない事を言った!」
「何言っているの夜衣斗ちゃん!」
「こんな駄目な人と」「こんな駄目な子と」
「「一緒にしないで!」」
それぞれ抗議の声を上げた芽印と春子の声が重なり、顔を見合わせる二人。
二人の様子に夜衣斗だけでなく、結構な人がため息を吐いた。
★夜衣斗★
星波学園高等部二年。マスメディア部部長。髪を後頭部でまとめた……シニヨンヘアだったか?が特徴の可愛いよりカッコいい感じなんだが………見た目に反して中身が………まあ、とにかく残念な感じの女性。
マスメディア部は、学園内で新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどのメディアを製作している部活。結構な人数と人気があるらしく、名の通り色々な事をやっているが、主なのは報道なので、俺が星波学園に転校してからよく取材の申し込みを受けている………まあ、全部断っているんだが………。
早見家は代々退魔士の情報屋の様な事をやっている退魔士の家系らしく、情報収集能力は高いと……自称。実際にどれくらいの情報収集能力があるかは不明だが、退魔士能力は情報収集に向いていると言える。
退魔士能力は、『瞬の歩み』。
歩く事で自分が行った事がある・直接見た事がある場所に瞬時に移動出来る退魔士能力(一応走っても可能らしいが、それだと上手く移動先をイメージ出来ない為、転送事故を起こす可能性があるらしい)。また、発動条件である歩きが、瞬間移動距離に関わっているらしく、長距離を移動する際は何歩か歩く必要があるらしい。その為、自分以外の存在も触れる事で一緒に瞬間移動出来るが、意識を失っている人間や、重い物を持って移動するのが大変らしく、両手で持てる重さと距離(手が届く範囲)が限度だとの事。もっとも、一緒に歩けるならかなりの人数と一緒に跳べるらしいから………今回は情報収集よりも、人の運搬を頼む事になりそうだな………
武装守護霊は、『Eカメラ』。
珍しい装備型武霊で、撮るとその対象が爆発する使えないカメラだそうだ………EはエクスプロージョンのEか?………もしかして、某深夜アニメがイメージの基だったりするんだろうか?……いや、自身を形作るイメージなら間違いなく違うか……カメラは詳しくないんだよな………まあ、関係ない話だが………と言うか、装備型なら、武霊の意志はほとんどないんだったんだよな…………ふむ…………使えるか?
★???★
「ねえねえ。ちょっと夜衣斗君にお願いがあるんだけど………」
「………取材ですか?」
「何で分かったの!?」
「………何でって、早見さんは」
「あ!芽印でいいわよ」
「………芽印さんは、マスメディア部の部長なんでしょ?………ここ一カ月、何度か取材させてくれって人が来ましたからね………」
「そうそう。夜衣斗君、うちの部員の取材全部断ってるでしょ?みんな困ってたわよ?」
「………俺は取材を受ける様な人間じゃありませんから………」
「それはこっちが決めることだって♪」
「……………」
「……………前々から気になってたんだけどさ、夜衣斗君って何で喋る時いちいち間を開けるわけ?こっちとしても聞き難いし、喋り難いよ?」
「………口下手ですから、喋る前に一回その喋る言葉を考えているんですよ」
「ふむふむ、なるほどなるほど」
「………恥ずかしいですから書かないで下さいよ」
「…………うん。書かない書かない♪」
「………流すのも、読むのも、見せるのも駄目ですよ」
「ッチ」
「……………」
「パフェとか奢るから、取材させてよぉー」
「………嫌です」
「じゃあ、昼の学生ワイドショーにゲストとして出てよ」
「………何がじゃあですか、ちっともじゃあじゃないでしょう」
「私とデートでどう?」
「………好きでもない女性とそう言う事は出来ませんよ」
「でも、デートした事ないでしょ?一回ぐらいは経験しておこうよ」
「………………余計なお世話です」
「私って結構美人でしょ?」
「………喋らなければ」
「もう。失礼ね!ぷんぷん!」
「……………」
「…………なんだったら………って、ともちゃん。笑顔で殺気を向けないでくれる?」
「何の事?」
「えっと………えっと………きゃー助けて夜衣斗君」
「……………次の人お願いします」