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第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』41

  ★夜衣斗★

 都合よさは……特にオウキに関しての都合の良さは、前々から気になっていた。

 春子さんの言う様に、オウキの設定は、ある種の世にありふれた設定を多用しているとはいえ、まるで武装守護霊にする為に考えられたように感じられる。

 ナノマシンブラットシステム。

 簡易格納庫システム。

 サーバントシステム。

 オーバードライブシステム。

 そして、それら中核のライオンハート機関。

 ………考え過ぎと言えば考えすだと言えるが………俺には運命を変えられる選択と言うのを、『誰かに』与えられたと事実がある。

 その誰かは未だに思い出せないが………記憶が封印されているって話だったか………その封印されている記憶が、無意識の内に武霊にするのに最適なイメージを創り出させていたと想定するなら………俺に運命を変えられる選択を与えたって奴は………武装守護霊に対して何らかの知識・関わりを持っている可能性が高いと言う事にならないだろうか?

 武霊の実験が始まったのが十年前だとするなら、当然、その準備はそれ以前に行われていただろうし………堕ち人の関係者なのだろうか……………そう言えば、最後の敵こと日向魁人は、俺の他に運命を変えられた者は、日向自身も含めて七人いるって言ってたな………ん?七人?…………つまり、裏切りの七人の魔法使い………か……………なら、運命を変えたって奴は………七人の師匠・シェルトン=シルベリア?……その可能性が高……くはないな………よくよく考えて見れば、シェルトンは二十年前に殺されてるって話だし………ん~?……………ん~まあ、今考えても仕方がないか……………どうも直ぐに思考が脱線するな………しかも、気を付けてないと考えている事を口に出してしまうみたいだし………まあ、今は流石に気を付けていたが……………

 「………とにかく、いくら他の武霊より逆はぐれ化が起こり難いとは言え、『同じ武霊』であるなら、魔力で強引に使い続ければ………いずれは逆はぐれ化を起こす可能性があります」

 俺の予測に、この場が静まり返る。

 ………大分俺を………いや、オウキを頼りにしていたんだろう………まあ、それだけオウキは強力だって事だよな………そう思うと自嘲気味に苦笑するしかない。

 「ん~でもさ」

 重苦しい沈黙を明るくする為か、春子さんは笑顔で、

 「要は気を付ければいいって事よね?」

 気を付ければって………

 「………前例がないんです。どこまでが限界で、どう気を付ければいいか………」

 「それでも一人で戦う覚悟を決めていたんでしょ?」

 ……………

 「……まあ、場合によっては」

 「なら、私達がサポートすれば大丈夫大丈夫」

 気楽に言ってくれる………逆はぐれ化を起こして…………死ぬのは俺だって言うのに…………いや、だから気楽に言ってくれるのか?…………なんであれ、

 俺はため息を吐き、

 「………星波町奪還には、オウキとキバの力は不可欠です。ですから、最悪の状況になった時を想定して………一つ、対抗策を考えています」

 まあ、『出来れば使いたくない手段』ではあるが………

 「さすが夜衣斗ちゃん。っで、どんな対抗策?」

 「………それを含めて、皆さんの能力を知る必要があるので………」

 「分かったわ。……でも、能力って言うのは、退魔士能力の事?」

 春子さんの問いに、俺は首を横に振り、

 「勿論、その事とも後で聞きますが、俺が今聞きたいのは、それ以外の普通の人間以上に出来る事をです」

 「普通の人間以上に出来る事ね………ん~そうね………各退魔士能力を介して魔力の存在を感知出来るとか、幽霊を見えるとか?」

 幽霊?………なんか今の状況とあまり関係なさそうな話が出てきたな………まあ、何が役に立つか分からないから、一応詳細は聞いて置くか………

 「………武霊使いが具現化していない武霊を見える様になるのと同じ様なものと考えればいいですか?」

 「そうね。そんな感じかな?………でも、この辺りの幽霊は、はぐれに食べられちゃってるのか、全くいないのよねぇ~。だから、武霊使いが幽霊を見れるか、確認しようがないけど、もしかしたら武霊使いも幽霊が見えるかもね」

 幽霊がいないね………もしかして………いや、そう考えるのはまだ早計か………とりあえず、

 「………そもそも幽霊と言う存在は、退魔士はどう認識しているんです?」

 「一般的な考えとそう変わらないわよ?肉体を失った魂?そんな感じ」

 ………と言う事は、

 「………根源意志力・魂・魔力以外にも、他の……意志力物質?」

 適当な言葉だったが、どうやらあってるらしく、春子さんが頷いた。

 「………が存在すると言う事ですか………」

 「そうね。あとは『霊力』と『気』とかがあるわよ」

 「………それらは魔力と同質と言うわけじゃないんですね」

 「そうよ………そもそも、魔力は『広がった魔力孔から流れ込んでくる余剰な根源意志力で構成された、世界の理を破壊し、改変する意志力物質』で、霊力は『魂から生じる魂と精神を保護し、増幅させる意志力物質』で、気は『魂から生じる世界の理を維持し、増幅させる意志力物質』って言われているわ。っで、それぞれ性質が違って、反発し合うものだから、『魂の中に魔力』『魂の周りに霊力』『肉体に気』って感じにそれぞれある場所も違うのよ」

 「………っで、それぞれを扱える者達がいて………魔力を扱う退魔士が幽霊を見えると言う事は、そのどれかを認識出来ているか、扱えるかしていれば他の意志力物質も認識できるって事ですか………」

 「そう言う事。ちなみに、私達は魔法使いじゃないから、魔力は扱えないわよ」

 ?………なるほど………

 「………あくまでその身の魔法を使えるだけであって、魔力そのものは扱えない………だから、退魔士能力を通してなんですね」

 「まあ、人によるけどね。ちなみに、前衛組は大体気も扱えるわよ」

 気を?………と言う事は、

 「………気が世界の理を維持し、増幅するものなら………身体能力が普通の人より優れてるって事ですか?」

 「そうよ………まあ、増幅されるとは言っても、巴ちゃんには負けるけどね」

 へ?飛矢折さん?

 唐突に飛矢折さんの名前が上がり、思わず飛矢折さんを見ると、飛矢折さんも驚いている様だった。

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