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第四章『それぞれの裏、さまざまな真実』9

  ★飛矢折★

 黒樹君と統合生徒会長との会話に、何となく場違いな気がして、黒樹君や統合生徒会長に気付かれない様に西島親子の隣に移動。

 「……何だかとんでもない話になってきたわね」

 ぼそっとそうあたしにつぶやくさゆりさん

 「はい………あたし、武霊とかでこういう話に慣れているつもりだったんですけど………」

 そう言ってさゆりさんと困惑の笑みを交わし、ひよりさんは話が退屈だったのか、さゆりさん寄り掛る様にして眠そうにしていた。

 ………本当に子供みたい………いや、年齢的にはまだ未成年だろうから………問題ない?………わけないか………

 などと考えていた時、

 「ですが、俺達は別行動をとらせて貰います」

 黒樹君がそんな事を言い出した。

 「っな!何故ですか!?」

 黒樹君の言葉に、驚く統合生徒会長。

 あたしも驚いて黒樹君を見ると、黒樹君はさっきより警戒を強めている様だった。

 「………端的に言えば、信頼出来ないからです」

 「信頼出来ない!?」

 衝撃を受ける統合生徒会長。

 ………はっきり言うな……黒樹君………

 「………あなた達が、退魔士……まあ、それは認めましょう。ですが、だからと言って、あなた達が黒幕ではないと言う可能性はなくならない。それどころか、むしろ高まっている」

 「そんな……わたくし達は」

 何かを言おうとした統合生徒会長を手で制する黒樹君。

 「………俺にとってすれば魔法使いであろうと、退魔士であろうと、未知に技術を持っている者達である事に変わりはありません。だとしたら、あなた達がこの星波町を舞台に武装守護霊と言う魔法生命体の開発実験をしている……そう最悪な疑いを抱かずにはいられません」

 その黒樹君の最悪の疑いに、この場が騒然となる。

 「それはありえませんわ!わたくし達も、武霊が何なのか分かっていませんの!」

 「………例え、この後どんなに言葉を積み重ねても、俺が信頼出来る言葉をあなた達が語れるとは思えませんが?」

 拒絶する黒樹君に、統合生徒会長は次の言葉を発せられなくなった。

 黒樹君が言う様に、そう言う疑いを抱けば、統合生徒会長達の言葉は信頼出来なくなるけど………そうなると、そうでないと言う証拠を、この場合は示すのが難しいだろうし………そもそも、黒樹君はもちろん、あたしとも、統合生徒会長達を証拠なしに信頼出来る関係じゃない…………でも、それって、あたしや西島親子にも言える事なんじゃ?

 そう思っていると、統合生徒会長も同じ事を思ったのか、

 「確かにわたくし達と黒樹様の間に、言葉だけで信頼して貰えるほどの関係はありませんわ………ですけど、それは飛矢折さん達三人様にも言える事なのでは?」

 と言った。

 少し不安を覚え、黒樹君の背を見ると、黒樹君は首を横に振った。

 「………飛矢折さんや西島さん達とは、危ない目を一緒に遭っています。そんな人達が黒幕側の人間だとは……俺には思えません」

 「それは……そうかもしれませんが………今の町の状態で、黒樹様達を別行動にさせるなんて、とても容認出来る事ではありませんわ。危険過ぎます」

 「………少なくとも、未知の能力を持った人達の側より安全でしょう?」

 「そんな!わたくし達は………」

 何だか泣きそうな表情と声になっている統合生徒会長。

 信頼されないどころか、危険人物の様に言われている事が衝撃だったのかもしれない………でも、普通、こういう状況になったら、男の人って動揺しないかな………

 視線を再び黒樹君の背に視線を移すけど、特に動揺した様子はない。

 ………まあ、黒樹君の性格からして内心はかなり動揺しているとは思うけど………。 


  ★夜衣斗★

 急に泣きそうな顔と声になった統合生徒会長に、俺は………かなり動揺したが………今、それを表に出すのは得策じゃないのは分かり切っているので、必死に表に出さないようにした。

 ………それにしても………女の涙はずるいとよく漫画とかで見るが…………本当にずるいな……………まあ、だからと言って、そんなので統合生徒会長達を信頼できるほど………状況は良くない。

 一回深いため息を吐き、

 「………個人的に言えば、あなた達が味方で合って欲しいとは思いますが………何度も言いますが、俺はあなた達を信頼出来ません」

 「どうすれば、どうすれば信用していただけますの?」

 そう泣きそうな顔で言う統合生徒会長。

 ………勘弁して………なんか周りの視線が痛い気がしないでも…………だが、ここで妥協するわけには………

 「………では、何故、俺が魔法使いに接触したと思ったのか、どうして接触してはいけないのか……答えてください」

 「それは………」

 口ごもる統合生徒会長に、俺は畳み掛ける。

 「………では、俺が特殊な武霊使いになっている理由に、何か心当たりがあるのは間違いありませんか?」

 泣きそうな顔に困った顔がプラスされた。

 ……だが、答えない……

 「………一体、あなた達は、俺の何を知って、何を隠しているんです?」

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