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第三章『奪われたオウキ』84

  ★???★

 ガチャポンマンの超振動により、オーバードライブの黒い装甲に覆われていたキバの喉は爆発した。

 それにより、吹き飛ばされる二体。

 互いがウィングブースターを広げ体勢を立て直した時、キバは喉のほとんどが壊れケーブルなどの内部が露わになり、ガチャポンマンの右半身は体内の頂喜武蔵に後もう少しで届く所まで消し飛んでいた。

 キバの喉は応急処置で、白銀の液体が喉だった部分を覆い硬化。更にその部分をオーバードライブの装甲が出来ようとするが、途中で止まる。

 これは今の喉の装甲があくまで応急処置の装甲である為で、常に本来の装甲にダメージを与えるオーバードライブの装甲には耐えられないが為、自己防衛システムが作動した。

 喉と同様に、破壊された足にも同じ事が起きているが、足の場合は、破壊された部分を塞いだだけで、足の修復までは出来ていない。装甲同様に、いや、それ以上に修復には時間が掛る。

 二つの個所にオーバードライブの装甲が展開出来なくなったキバに対して、ガチャポンマンの方は瞬く間に消失した部分が生え、元通りになってしまう。

 ガチャポンマンの圧倒的優位で対峙する二体。

 一瞬の間を置き、ガチャポンマンの全身から黒い霧が発生する。

 オウキのオーバードライブの様だが、黒い霧は装甲にならず、ただガチャポンマンの周囲を漂うだけだった。

 だが、キバが牽制の為に突撃させたソードサーバント達が黒い霧に触れた瞬間、大爆発が起きる。

 爆風に一瞬体勢を崩されたキバ。

 そのキバの周りに爆風に乗った赤い霧が纏わり付く。

 次の瞬間、赤い霧はガチャポンマンになり、キバの背中から抱き付きて腕・足を使ってキバを締め上げる。

 足の締め上げはオーバードライブの装甲で逆にガチャポンマンにダメージを与えていたが、腕はオーバードライブの装甲がない喉に掛っていた為、強烈な締め上げを受けてしまう。

 キバは息をしているわけではないので窒息の問題はないが、このままでは首を圧し折られかねなかった。

 音を立てて喉の応急装甲が壊れ始めるが、キバは同時に腰の簡易格納庫を開き、そこからアームに繋がった剣が飛び出し、ガチャポンマン体内の頂喜武蔵に当たらない様に足・腕とウィングブースターを切り裂いた。

 斬り飛ばされ、霧散するガチャポンマンの両腕両足・ウィングブースター。

 キバはガチャポンマンの胴体により押さえ付けられていたウィングブースターをガチャポンマンへと無理矢理向け、最大出力で点火する。

 吹き飛ばされるガチャポンマンは、吹き飛ばされながら、斬り飛ばされた両腕両足を再生。

 同時にガチャポンマンは重力増加を使用し、キバに向けて急降下。

 避けようとするキバだったが、ガチャポンマンが斥力を発生させた為、意志に反してガチャポンマンに引き寄せられてしまう。

 ガチャポンマンが両手を剣にし、迎え撃つキバの剣を受け止める。

 キバは肩の簡易格納庫から可動銃身を出し、ガチャポンマンの両肩を狙おうとするが、その両肩からもう一対の腕が生え、射線軸をずらされてしまう。

 銃身から撃ち出された銃弾が、空を切ると同時に、キバを巻き込んだ更なる重力増加を開始するガチャポンマン。

 一瞬拮抗するが、耐え切れず、急激に落下し出す二体。

 落下する最中、ガチャポンマンは肩の両手から超振動を発し、持っていた銃身を破壊する。

 それと共に、頭部・腹部に巨大な口を出現させ、光を収束させ始めた。

 キバが壊れた可動銃身を破棄し、肩の簡易格納庫から新た武装を出そうとした瞬間、二体が海に落ち、強烈な閃光と共に、巨大な水柱が上がった。


  ★夜衣斗★

 目の前に現れたその駄菓子屋は、他のどの光景より若干安定していた。

 ………そして、魔力の水が流れ出るガチャポン機が店の前に置かれている。

 なるほど………ここがガチャポンマンの基となったイメージって訳か………。

 何の変哲もない駄菓子屋だが、周囲を見回すと、かすれたりゆがんだりしながら幼い頃の頂喜武蔵が悪行を行うシーンが現れては消えていた。

 ……………何と言うか………ここまで快楽に忠実に動く人間は初めてだ………。

 俺はため息を吐きながら、魔力の水が流れているガチャポン機を改めて見た。

 どこから水が出ているのかとガチャポン機をよく見ると、その全体にひびが入っており、そのひびから水が出ている様だった。

 ………これが武霊の本体って事なのだろうか?………だとすると、武霊は基となった武霊使いのイメージと同化してその姿になるって事か?………待てよ?そうなると、やっぱりあの女の子達の正体が不明になるな……マイマスターって言ってたから、俺を主人としている事は確かだろうが………まあ、少なくとも、俺に与えられたって言う運命を変える選択と関係あるんだろうが………とりあえずそれを考える事は後回しにしよう。思考するにはあまりにも情報が少な過ぎる。………っで、ガチャポンマンのこの様子からすると、武霊使い強化薬により、武霊の許容限界を超えた意志力………じゃないな、どう見ても魔力が漏れ出ている………人は、魔力孔から根源意志力を得て、己が魂を構築し、意志を持ち、意識を得て、意志力を生じさせる。そして、余剰となった根源意志力が魔力になる………ってあの謎の老人が言っていた事からすると、普通の人間は魔力を得られるほど魔力孔が………何だか矛盾した名前だが……得られないって事になる………っとなると、武霊使い強化薬は、魔力孔を無理矢理広げ、武霊使いに魔力を得られさせるものって事か?そして、通常人の意志力を糧としている武霊は、急激に得た魔力により壊れ………壊れた部分を治す為に、本来の糧である意志力を求め、壊れているが故に加減が出来ず、もしくは意志力を得ても間に合わないスピードで壊れている為、結果自身武霊使いを喰らってしまう特殊なはぐれ化を起こす………そんな所だろうか?……もし、この考えが正しければ、意志力と魔力は同じ物で出来ていながら、その性質は違うって事になるな…………そして、意志力の消費を感じない今の俺の武霊達も同じ様に魔力を糧にしている可能性が高い………それはつまり………俺にも同様のはぐれ化が?……………まあ、考えても仕方がないか………それが起こった時は起こった時だし………少なくとも、これを破壊すれば、今回の騒動は全て終わる。

 そう思った俺は、右手に意識を集中。

 すると、美魅の人間形態の様に剣の爪が現れた。

 今の俺ならこれも出せると美魅が言っていたので、試しにやってみたんだが………よくよく考えて見れば、これは武霊能力ってわけじゃないわけだから、これ単独で使うと、忘却現象に適応されず、俺の記憶に残るんじゃないんだろうか?………まあ、武霊と関わらない事に美魅の力を借りる事態になる事はない………だろうから………まあ、問題はないかな?

 そう思って、俺は剣の爪が出た右手を振り被り、ガチャポン機を切り裂こうとした。

 その瞬間、俺は何かに呼ばれ………この感じは……………オウキ?

 何だかひさしぶりの感覚は………目の前のガチャポン機から感じた。

 俺は眉を顰め、ガチャポン機を再びよく見ると………ガチャポン機に入っているカプセルの中に、オウキのミニチュアが入っている事に気付く。

 ………考えて見れば、当然と言えば当然な話だ。今、オウキはガチャポンマンに奪われている訳なんだから………だが、ただたんに奪われている訳じゃなく、『貸し』奪われているだ。だから、ガチャポンマンを破壊すれば返ってくるって思ったんだが………今のオウキの呼び掛けは………まるで「止めて」っと言っている様な感じだった。………まあ、言葉じゃないから何とも言えないが………ん?

 なんとなしに視線をオウキの隣に向けると、そこに…………頂喜武蔵が入ったカプセルがあった。

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