第三章『奪われたオウキ』68
★???★
「亮!」
朝日竜子の呼び掛けに、大原亮は薄れる意識を何とか維持させた。
それと同時にブルースターを再具現化し、迫りくる巨大な剣をその爪で弾き返させる。
亮と竜子の視線を先には、フリルが異様に多い服を着たロングヘアの女の子が居り、その周りに巨大な剣がいくつも飛び回っていた。
二人が自警団と鬼走人骸との戦いの成り行きを見守っていた時、不意に女の子が現れ、二人に襲い掛かってきた。
襲い掛かる巨大な剣達を、二人は自分の武霊を出して応戦するが、町の武霊使いとは次元の違う戦闘能力を持った少女の武霊に苦戦し、そうしている間に状況は悪化し、狙っていた武霊使いが黒樹夜衣斗の前に現れるのを確認。
亮は覚悟を決めて、かなりの無茶をしてブルースターを飛ばし、ミラーマンの武霊使いをなんとか喰らったと言う訳だが………
「それにしても、何なのこの子?」
身体の至る所に切り傷を作っている竜子は、腕に巻き付く龍王を油断なく女の子に向けながら、亮を見た。
最初に襲われた時、亮の様子がおかしかったのを竜子は見逃さなかったのだ。
亮は眉を顰め、声を出さずに楽しそうに笑っている少女を見ている。
「………くそ。どう考えても……武霊チルドレンしかないか………」
「武霊チルドレン?」
亮が悔しそうにつぶやいた言葉に、竜子は眉を顰めた。
その竜子を亮は見て、少し迷った様子を見せたが、それに竜子は怒った表情を見せる。
亮は竜子の怒った顔にため息を吐き、苦笑した。
「今更な迷いだったな。すまない」
「別にいいわ。それより……」
「ああ……多分、あの子は、星波町の武霊使い達を基にしたデザイナーズチルドレンだと思う」
「デザイナーズチルドレン?」
竜子にとって縁のない言葉に、再び眉を顰めたが、次の亮の言葉に、更に眉を顰める事になる。
「受精卵の段階で遺伝子操作を行って産まれた子供の事だよ」






