第三章『奪われたオウキ』67
★???★
夜衣斗を守る様に具現化した機械のユニコーン。
その両肩両腰が開き、そこからソードサーバント二機とヒーラーサーバント四機が飛び出す。
ソードサーバントは飛び出した勢いのまま西島さゆりを拘束しているミラーマンを切り裂き、ヒーラーサーバントはひよりを退かし、夜衣斗とひよりの治療を開始した。
ミラーマンから解放されたさゆりは、直ぐに夜衣斗に駆け寄り、機械のユニコーンは、二人を守る様に前に出る。
吹き飛ばされたミラーマンの武霊使いは、自身の武霊に助けられ地面に転がらずに済んでいた。
「三体目の武霊かよ!どんだけ特別なんだよてめぇは!」
激昂しながら、次々と機械のユニコーンの偽者をミラーマンから出すミラーマンの武霊使い。
治療を終えた夜衣斗は、さゆりの心配する前で立ち上がり、
「………二体目だ」
っとぼそっと訂正したが、さゆりにしか聞こえず、聞いたさゆりは意味が分からないっと言った顔をしている。
夜衣斗はそれを特に気にせず、
「なぎ払えキバ。セレクト、ホーンブレイド」
夜衣斗の命令に、機械のユニコーン・キバは自分の額に付いている角を振り被る。
その動きに偽者のキバ達がシールドサーバントを出そうとするが、それより早くキバの角が開き、一閃。
一拍間を置いて、ミラーマンと偽者のキバ達は霧散。
開いた角に、シールドサーバントと同じ力場が刃状に展開されており、その見えない刃がミラーマンとキバの偽者達を、ミラーマンの武霊使いを避けて、切り裂いた。
一瞬で自身武霊を倒されたミラーマンの武霊使いは、少しの間唖然としていたが、直ぐにはっとし慌てて武霊を再具現化しようとする。
その瞬間、
ミラーマンの武霊使いの地面から巨大なあぎとが現れた。
唐突な出現に、その場の全員が驚き、固まる中、巨大なあぎとはミラーマンの武霊使いを飲み込み、凄まじい早さで上空に飛び出し、その全身が露わになる。
それを見た夜衣斗は眉を顰めた
ミラーマンの武霊使いを飲み込んだその武霊に、夜衣斗は見覚えがあったからだ。
青い人型のドラゴン。
武霊を唯一無傷で武霊使いから奪える武霊・ブルースター。
★夜衣斗★
突然現れ、ミラーマンの武霊使いを飲み込んだブルースター。
このタイミングで出てくるかよ。
もっとも出てきて欲しくないタイミングで出てきたブルースターに、思わずそう思った時、ある事に気が付いた。
ブルースターの身体の至る所に、傷が付いている事にだ。
まるで激しい戦闘中に無理に抜け出してきたかのように見える。
何と戦っていたんだ?……いや、そもそも何処にいるんだ?大原亮。
辺りを見回すが、大原亮らしき姿はない。
その意味を考えるより早く、ブルースターはその姿を霧散させて消えた。
それにより、飲み込まれたミラーマンの武霊使いは空中に投げ出され、俺はシールドサーバントをキバから出し、受け止めさせる。
………一体、これは……どういうことなんだ?