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第三章『奪われたオウキ』60

  ★飛矢折★

 トリガーが引かれる瞬間、あたしが射線軸から避けると同時に、民家の屋根のコロ丸が飛び出し、鞭の様に放たれた体毛がオウキの拳銃を切断した。

 あたし達と頂喜武蔵の間に着地したコロ丸の背中には、団長さんと刑事さんが乗ってて、刑事さんは十字架の様な拳銃を頂喜武蔵に向けてる。

 「団長さん!赤井さんが!」

 あたしの言葉に、あたしが背負っている赤井さんが意識を失い、血を頭から流している事を確認した団長さんは、

 「私達が切り開く!君は美羽を病院に!」

 そう言って、コロ丸の身体の中に沈み込んだ。

 レベル3になった団長さんは、刑事さんを背負ったまま頂喜武蔵に突撃し、頂喜武蔵はウィングブースターで空に逃げる。

 逃げた頂喜武蔵に向かって刑事さんは拳銃を連射し、頂喜武蔵を牽制。

 あたしはその瞬間を見逃さずに駆け出そうとした時、耳をつんざく咆哮が聞こえ、思わず足を止めてしまう。

 反射的に咆哮が聞こえた方向を見ると、そこには…………形が崩れ始め、暴れる巨大な武霊達がいた。


  ★???★

 高木弥恵が夜衣斗達の下へ追い付いた時、弥恵は唐突に気配の一つが消えた事を感じた。

 その意味を深く考える暇もなく、残った二つの気配が弥恵に向かって襲い掛かってきたので、弥恵は仕方なく傘を投げ捨て杖に手を掛ける。

 「ごめんなさい。武霊に掛ける情けは無いの」

 気配の質から襲い掛かってくるのが武霊だと分かっていた弥恵はそう言って、まるで透過したかの様にミラー美魅二体をすり抜け、トンネルに向かって歩き出した。

 その後姿を追おうとするミラー美魅が振り返った瞬間、ミラー美魅の身体が二体とも上下に僅かにずれ、霧散。

 実は弥恵の杖には刀が仕込まれており、それをすり抜けた瞬間に抜刀し、目にも止まらぬ速さでミラー美魅を斬り、納刀したと言わけだ。

 明らかな銃刀法違反だが、弥恵は人間には絶対に使わないと決めているので、杖に刀が仕込まれている事を知っているのは僅かしかいない。もっとも、ばれたとしても星波町内なら誰も咎めはしないだろうが………。

 ミラー美魅二体が消えた事に気付いたミラーマンの武霊使いは、意識を失った夜衣斗の頭を踏みつけたまま、背後のミラーマン本体から弥恵の偽者を三体作り出し、襲わせようとするが、ミラー弥恵達はまともに動けず、一体はつまずき倒れ、一体は明後日の方向にヨタヨタと歩き、残りの一体はその場におろおろしてしまう。

 その様子にミラーマンの武霊使いは舌打ちした。

 ミラーマンの偽者を作り出す能力は、あくまで見た目だけで、その中身はミラーマン自身でしかない。

 その為、盲目である弥恵の姿を真似た所で、その能力を真似るまで至ってないので、全く使い物にならない偽者を作り出してしまったと言うわけだ。

 仕方なく、ミラーマンの武霊使いは頭部だけミラーマンの姿に戻し、三体の偽者もどきで弥恵を取り囲ませる

 その時、偽者もどき達が杖から仕込み刀を抜いたので、ミラーマンの武霊使いのみならず、見えないミラーマンに羽交い絞めされている西島さゆりも、目を丸くして驚いた。

 「あんた先生だろ!法を犯していいのかよ!」

 そのミラーマンの武霊使いに弥恵は微笑んで、

 「生徒に見せないからいいのよ」

 っととんでもない事を言ってほほ笑み、ミラーマンの武霊使いと西島さゆりは、驚愕と呆れが混じった様な表情になった。

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