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第三章『奪われたオウキ』56

  ★夜衣斗★

 窓で外を確認すると、さっきより雨足が強くなっていた。

 ……傘らしきものは………当たり前だが、ないな………仕方がない。

 ため息一つ吐き、手に持っていた鉄パイプを床に置き、近くに転がっていたロッカーのドアを持ち上げた。

 ………ちょっと重いが、これを使えば、多少は濡れずに済む……か?………にしても、何の為に鉄パイプを持ってきたんだか………。

 再びため息を吐き、後ろを見た。

 「………美魅。確か、ここ道、分かるって言ってたよな?」

 「そうだわよ」

 俺の確認に、雨の降る外を嫌そうに見ていた美魅は頷いた。

 何でも昔、ここが潰れる前に探検した事があるらしい………流石、町に長年住んでる化け猫なだけはある。

 「………じゃあ、美魅が先頭になってこれを持って、西島さん達が真ん中に入ってください」


 土砂降りに近い雨の中、俺達は外れたロッカードアを傘にしつつ、廃工場を出て、近くにあるらしい町境のトンネルに向かっていた。

 だが、ひよりさんは西島さんが何度呼び掛けてもぼーっとするばかりで、西島さんが手を引いて何とか付いて来てくれる状態だった。

 そのせいで急ぐ事が出来ず、中々トンネルに辿り着けない。

 時々振り返って戦況を確認すると、オウキのサーバントが大量に飛び回っているのが見え、意味が分からないが、自警団の武霊達と戦っていた鬼走人骸のレベル2武霊が消え、再び廃工場近くに現れたりしていた。

 雨と距離のせいで詳細は分からないが、どんどん状況が悪化しているのは間違いない。

 ………俺だけでも先行して町を出た方がいいんだろうか?

 そんな事を思った時、前方にトンネルらしきものが見えた。

 思わずほっと一息吐いた時、そのトンネルの中から誰かが出てくるのに気付き、眉を顰めた。

 携帯とかも奪われているので正確な時間が分からないが、街灯が点き始めた事からして、もう夜になっているのは間違いない。

 そんな時間帯に、電車や車を使わず徒歩で町に入る人間がいるのか?

 そう思い眉を顰めたのだが………トンネルから出てきた誰かがトンネルの前で濡れるにも関わらず立ち止まった事に俺は更に眉を顰めた。

 ………ロッカードアを傘代わりにしている集団を怪しんだとか………確かに怪しい集団だが………考えて見れば………滅茶苦茶恥ずかしいな………。

 何だか顔が赤くなってきた。

 だが、その赤面はかなりの的外れな赤面だった事に直ぐに気付く事になる。

 何故なら、トンネルから出てきた誰かは、俺の知っている奴だったからだ。

 しかも、まず間違いなく、俺を逆恨みしている奴で…………………そう言えば、名前なんて言う奴だっけ?

 微妙に緊張感がない事を思った時、トンネルから出てきた奴は武霊を、全身が鏡の様な人型の………確か、昔の特撮の主人公のミラーマンだったか?を具現化させた。

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