第三章『奪われたオウキ』50
★美羽★
突然消えたレベル2の武霊達が、廃工場近くに再び現れて………レベル4になっていた。
誰もなった事がない、あの美春さんも到達していない段階・レベル4が現れた。それも、大量に………
あまりの出来事に硬直していると、星電が鳴ったので、慌てて誰から掛ってきたか確認せずに出てしまう。
「やあぁ、美羽ちゃん」
星電から聞こえてきた東山さんの声に、状況を忘れて思わず星電を切ってしまう私。
間髪入れずに着信。
状況が状況なので……そもそも、夜衣斗さんの安否は、東山さん経由からしか知る事が出来ないから……仕方なく星電に出る。
「夜衣斗さんは救出出来たんですか?」
東山さんに余計な事を言わせる前に、こっちから聞きたい事を言った。
「………まあ、いいんだけどねぇ………黒樹君は多分無事だと思うよぉ?」
「多分?」
救出出来なかったって事?そんな!何やってるの東山さん!
文句が口から出る前に、東山さんが、
「自力で脱出したみたいだからねぇ」
っと予想もしていなかった言葉を口にした。
…………は?
言葉の意味を理解するのにちょっとかかって、
「自力で脱出した!?どうやって!?」
「さあ?どうやってだろうねぇ?まあ、とにかく、黒樹君の方は大丈夫そうだから、今からそっちの応援に行くねぇ」
「何でですか!まだ、夜衣斗さんを保護してないでしょ!?町の外に……」
連れ出してもいない。
そう言いながら、オウキの姿を確認する為に、美春さんと頂喜武蔵が戦っている方向見て、私は再び固まってしまった。
何故なら、頂喜武蔵に踏み付けられている美春さんがそこにいたからで…………。
嘘でしょ!?美春さんが………助けないと!
「東山さん!今どこですか!?」
「な!何だい?いきなり?」
「いいから早く!」
大丈夫ですよね……夜衣斗さんなら………。
言い知れぬ不安を感じながら、私は美春さんを助ける為に動き出した。