表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
352/471

第三章『奪われたオウキ』49

  ★飛矢折★

 「じゃあ、行きましょうか?」

 そう言って高木先生は、持っていた傘をあたしに渡してくれたけど………

 躊躇っているあたしに高木先生は少し笑って、

 「黒樹君は考える子よ。考え過ぎるぐらいにね。そんな子が地理を分からないぐらいで目的を遂げないと思う?」

 …………それは、

 「思いません」

 「じゃあ、少なくとも、ここからこっちも町の外へ向かえば必ず追い付けるはずよ」

 高木先生はそう言って、あたしに折り畳まれた紙を渡した。

 疑問に思ってそれを広げると、廃工場一帯の地図のコピーだった。

 しかも、今いる建物には赤丸がしてある。

 「東山君から借りたのよ」

 「そうですか……それでその刑事さん達は?」

 そんなに広い建物じゃないから、手分けをすれば直ぐに探し終わると思ってたけど、今の所、こっちに来る人の気配はない。その事を疑問に思っていると、高木先生は困った顔をして、

「自警団が不利な状況に追い込まれたみたい」

 「不利な状況?」

 「ええ、私は外の様子を見れないから詳しくは分からなかったけど………どうも武装風紀の子達がいつまで経っても参戦しないみたい」

 あたしが調べていた場所は戦いの様子が死角になる所だったから様子はうかがえなかったけど、そんな事になっていたなんて………でも、どうして?

 「そんな状況だから、自力で脱出している黒樹君の救援より、自警団の応援に行った方が良いって判断したみたいね。少なくとも、私達が黒樹君の所に合流すれば、多少の武霊使いが追っていても何とかなるでしょうし」

 多少のって………過大評価なんじゃ………。

 武霊使いが誰も残らなかった事に不満と不安を感じるあたしだけど…………それだけ窮地に陥っているって事なのかな?

 「どうしてあの子達が参戦しないのか、私の方からも連絡を入れてみたんだけど………出なかったわ」

 「出ないって………学園の方はどうですか?あそこにはまだ武霊使いが」

 「学園の方もダメだったわ」

 そんな………一体何が起こっていると言うの?

 「何が起こっているか、今の私達には知り様ないわ。だから、今は黒樹君に追い付く事に集中しましょ?」

 高木先生はそう言いながら、外に出て傘を差した。

 「……そう……ですね」

 あたしは頷いて外に出て傘を差す。

 その時、空か物凄く大きな咆哮が起きた。

 あたしは思わず駆け出す。

 空にはコウリュウが……赤井さんが飛んでいた。

 嫌な予感がする。

 咆哮の聞こえた方向を見ると、そこには………

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ