第三章『奪われたオウキ』47
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雪崩の様なサーバントの猛攻を伸縮硬軟化自在なコロ丸の体毛を組み合わせて避け続ける美春。
ソードサーバントの突撃を飛び跳ねて避けては、続くCAサーバントの突撃を体毛を伸ばし電信柱に縛り付け一気に縮めて避ける。
その際に、残りの体毛を無数の刃にして通り抜けるサーバント達を破壊。
それによって出来た道を駆け抜け、半透明なオウキを身に纏った頂喜武蔵に接近し、刃の嵐を繰り出すが、レベル3により具現化密度が上がったオウキの装甲を僅かに傷付けるだけで終わり、その傷すら瞬時に修復されてしまう。
鉄すらあっさり切り裂くコロ丸の体毛の刃を防ぐ装甲の強度に、自己修復機能。
その光景に唖然としているわけにもいかず、頂喜武蔵の攻撃とサーバントの攻撃を避ける為に、一気にオウキから離れる。
再びサーバント達を避けつつ破壊し、次の攻撃チャンスを作ろうとするが、コロ丸の攻撃が効かないのなら、残された手段は一つしかない。
だがそれは、今回の場合に対して有効な手段か美春は疑問と不安を抱いていた。
通常厄介な相手を、特にレベル3の武霊使いを相手にする場合は、意志力切れを狙って戦う。
レベル3の具現化は具現化密度が高い為か、武霊使いの最も近くで具現化させる為か、意志力の消費が非常に高い。
レベル1なら一日中具現化出来る武霊使いだったとしても、どんなに抑えめに戦ったとして一時間持つかどうか。
それぐらいの消費量なのだが………頂喜武蔵は通常のレベル3の具現化をしているとは状況からして考えられない。
急に増えた鬼走人骸の武霊使いに、その全てがレベル2になっている。
これはどう考えても、先月の五月雨都雅や来塚博が使った謎の薬物を鬼走人骸が手に入れ、それを使用している。っと考えるのが自然だった。
そうなると、夜衣斗からの報告にあった『どんなに意志力を消費しても枯渇する様子がない意志力』を、今の頂喜武蔵は手にしている可能性がある。
そんな可能性がある相手に持久戦を持ち込むのは、どう考えても危険だった。
だが、それ以外の攻め手が『今の』、自警団団長としての美春にはなかった。