第三章『奪われたオウキ』42
★美羽★
次々と自警団の武霊がオウキにより霧散される。
刀で切られ、銃で撃たれ、ハンマーで打ち砕かれ、自警団の攻撃は周りを漂うシールドサーバントによって防がれてて、傷一つ付けられない。
このままじゃ自警団の人達がいる所まで突破される!
そう思った時、コロ丸を身に纏った美春さんが戦場に現れ、シールドサーバントごとオウキを体当たりで吹き飛ばした。
美春さんが私を見る。
今の美春さんの体当たりで、オウキが自警団の武霊達の中から出ていた。
「コウリュウ!アイスブレス!」
コウリュウに冷気のブレスを吐かせて、オウキとサーバントを雨水ごと凍らせる。
オウキ本体はそれでは動きは止められないけど、サーバントの動きは止められた。
それによって美春さんの刃の嵐が全てオウキに突き刺さり、オウキは一瞬ガチャポン機の様な本来の姿になって霧散。
………とりあえず、退けたけど………廃工場の方を見ると、オウキが出ると同時に引いた鬼走人骸達がいるのが見えた。
それに、まだ夜衣斗さんが囚われ、オウキが貸されたままになっている。
………でも、そろそろ………。
美春さんの作戦は、保護した夜衣斗さんを星波町外まで連れて行く事。
そうする事で、貸し出されているだけのオウキは、具現化出来なくなる………はずなんだけど…………。
廃工場の空にレベル3と化したオウキを身に纏う頂喜武蔵が現れた。
ぞっとするしかないその光景の後ろに、更にぞっとする光景が現れ………私は少しの間、茫然としてしまった。
頂喜武蔵の後ろに、無数のレベル2が現れ、立ち並んだ。
あんな数のレベル2に加えて、レベル3のオウキ。
一体何をやってるのよ東山さんは!