第三章『奪われたオウキ』34
★???★
頂喜武蔵は歓喜していた。
手に入れたオウキの力が予想以上だったからだ。
頂喜武蔵の武装守護霊・ガチャポンマンは、貸すと発言させたものなら何でも強制的に借りる事が出来る。
その対象は武霊にまで及ぶが、武霊を借りた場合、他のものを借りる時とは違う現象が起きる様になっていた。
それは、頂喜武蔵の任意でその手元に借りた武霊のミニチュアが入っていたガチャポンのカプセルが現れる事。
そして、その中にその武霊の説明書が入っており、それを見て頂喜武蔵は借りた武霊の能力と特徴を知り、操っていた。
瞬時に様々な武器・兵器を構築する簡易格納庫システム。
様々な機能に特化した半自律小型飛行兵器サーバント。
全機能を一時的に限界以上まで高めるオーバードライブモード。
などなど、カプセルの中から出てきた説明書は、僅かな間では読み切れないほどの厚さになっていた。
(こいつがあれば)
視線を武霊達が激突している現場へと向ける。
今、頂喜武蔵がいる場所は、廃工場の中で最も高い建物の屋上。
そこから拮抗している戦況を見降ろしながら、頂喜武蔵は笑い、既に具現化していたガチャポンマンのレバーを回し、ガチャポンマンをオウキに変化させた。
「さあ、パーティータイムぜ!」
オウキから無数のサーバントを出し、頂喜武蔵はオウキに照明弾を撃たせた。
照明弾の光は夕闇に沈む空に輝く。
その空にどんよりとした雲が迫っており、梅雨の時期だと言う事も重なって、これから土砂降りの雨が降るのを予感させるのに十分な空だった。