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第三章『奪われたオウキ』32

  ★夜衣斗★

 「夜衣斗君」

 腹部のダメージが動けるまで回復したのか、切られた服を押さえながら、西島さんが近寄ってきた。

 流石にその様子に声を掛けないわけにはいかず、

 「………大丈夫ですか?」

 っと声を掛けると、西島さんは力なく微笑み、

 「夜衣斗君のおかげで服以外は……まだちょっとお腹が痛いぐらいかな?」

 そう言いながら、西島さんは手錠のせいで身動きの取れない俺の上半身を起こしてくれた。

 「………ありがとうございます」

 「ううん。私にはこんなことしか出来ないから」

 そう言ってほほ笑んだ西島さんは、少し躊躇って、

 「………ねえ?さっき、オウキを貸す……とか言ってたけど………もしかして」

 武霊使いではない西島さんには、具現化していないオウキが頂喜武蔵の武霊に取り込まれた様子が見れていなかったのは間違いない。だが、それでもそんな問いをしてきた所からすると、さっきのやり取りから、ある程度の予想は出来てると考えるのが、自然か………まあ、ここで嘘を吐いても仕方がないか。

 俺はため息一つ吐き、頷いた。

 「………ええ、今の俺にはオウキを具現化させる事が出来ません」

 「……そう。じゃあ、自力での脱出は無理なのね………」

 分かっていた事とは言え、落胆の様子を隠す事が出来ない西島さん。

 確かに、今の俺や、西島さんにここを脱出する手段はない。だが、

 「………どうでしょう?」

 俺は目の前に座って毛繕いをしている美魅を見た。

 頂喜武蔵は、美魅をあの状況であんな事しか出来なかったことからして、大した存在じゃないと感じた様だが………実際の所、美魅が『どこまで』出来るか、俺は知らない。だが、今は………美魅に頼るしかない。

 「………美魅。美魅の力でここから俺達を脱出させる事は出来ないか?」

 その俺の問いに、美魅は毛繕いを止めて、

 「今のあたいには難しいだわね」

 「猫が喋った!?」

 俺の中から出てきた瞬間を見ていなかった西島さんの驚きをとりあえず無視して、

 「………今のって事は、何とかする方法があるんだな?」

 俺の確認に頷く美魅。

 「………っで、その方法は?」

 その問いに、美魅はやや躊躇った感じになり、俺が眉をひそめていると………

 「あたいと夜衣斗が『契約』する事だわよ」

 ………………契約?

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