第三章『奪われたオウキ』25
★夜衣斗★
警察署の上空まで来た時、星電が鳴り出した。
………ふと思ったが、PSサーバントを着ている時って、携帯とか財布とかどうなってるんだろうか?………設定上は、ナノマシンによって分解されてて、その構成情報のみが保存されている。っと言う設定だった………って事は、
「………右掌に星電再構成」
そうつぶやくと、星電が右掌に再構成された。
………何だかね………。
星電の着信相手は………東山刑事からだった。
ちらっと下で繰り広げられている警察の武霊使いとバイクに乗った男達の武霊との戦いを見ると、そこには東山刑事らしき姿はない。
…………それにしても………警察の人達の武霊は、警察関連のが多いな………
そんな事を思いながら、俺は星電に出た。
「黒樹君。君、今どこにいる?」
……?なんだか若干いつもの雰囲気と違うような……
「……警察署の上空にいますが?」
「君はタイミングがいいな。君の武霊に炎で構成された敵に最適な武装はあるか?」
その問いに俺は再び警察署に視線を向けた。
警察署の至る所から炎と煙が上がり始めている。
……なるほど、炎系の武霊がいるわけか。
「……今、送ります」
「助かる」
よほどピンチなのか、それで東山刑事は通話を切った。
「セレクト。レスキューサーバント、十機」
俺の命令に、オウキの方から円盤に二本の筒と腕が付いた円盤が十機現れる。
名前の通りレスキューを目的にしたサーバントで、シールドサーバントの様な力場発生装置以外に、限定的に強力で精密なコントロールが可能な力場を発生できる二本の腕や、二本の筒からは消火剤などの様々なレスキューに必要な液体などを出す事が出来る仕様になっている。
まあ、炎系の武霊なら、炎を消してしまえばいい……と。
「行け、サーバント」
俺の命令に、サーバント達は一斉に警察署の中への飛んで行った。
さてと………もう一度下の戦いの様子を見る。
どうやら拮抗している様だが………状況から考えて、こいつらが鬼走人骸なんだろうが………聞いていた武霊使いの数と大分違う様な………十人ぐらいと昨日東山刑事が言っていたが………どうみても三十人以上いる様に見える………それってつまり、例の謎の薬物か?…………まあ、何にせよ。警察に加勢にしようか………。
そう思った時、オウキが俺の下に移動し、その瞬間、炎が襲い掛ってきた。