第三章『奪われたオウキ』22
★夜衣斗★
(夜衣斗。そっちは家に帰る道じゃないだわよ)
………わかってる。
(ふふふ。ならいいんだわね)
…………何とでも思え………。
駅からの帰り道。俺の足は視線と家に向かわず、警察署に向かっていた。
……多分、春咲さんが言った事が、俺の中に引っ掛かり………何の考えもなしに行動しちゃってるんだと思う。
実際、どうするかなんて全く考えていない。
今だって、助けたいし、どうもしたくない。
だけど、何もしないで後悔するのは…………やっぱり嫌だ。だけど…………これが直接巻き込まれているなら、こんな迷いなんてしないで次の行動を決められと思う。そういう時の精神状態は………言わば、キレてる・キレかけている状態なので、通常と若干思考回路が違う。まあ、そもそも状況が、そうしなきゃいけない状況で、選択の余地がないと言えば、ない状況だと言えるが……………考えてみれば………今回の事も宿命の悪意に関わる……俺の死の運命なら……どこかで本格的に巻き込まれるんじゃないだろうか?
そう思った時、爆発音が聞こえた。
音のした方向は…………警察署の方向!?
俺は慌てて制服に偽装させていたPSサーバントの偽装を解き、空を飛んで警察署を確認すると………警察署から煙が上がっていて、その周りにはバイクに乗った無数の男達と、様々な武霊がいた。
どういうことだ?いくら警察署が下校ルートから外れた場所にあるとは言え、スカウトサーバントの索敵に引っ掛からないなんて事が…………って、瞬間移動系の能力を持った武霊がいたな………ひよりさんの………これだけの人数を運べるのか…………もう少し考慮に入れておくべきだったか………いや、今はそんな事より!
「オウキ!」