表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/471

第三章『奪われたオウキ』21

  ★???★

 警察署で保護されている西島さゆりは、用意された部屋の中で溜め息を吐いていた。

 娘のひよりが行方不明になってから、警察に捜索願を出したが、只の家出として扱われ、まともに取り合ってくれなかった。

 実際に最初はただのプチ家出だったのは、ひよりの友達からも確認できた。

 でも、泊めて貰っていたその友達に、家に戻ると言って以降の足取りが全く掴めなかった。

 それを警察に言っても、やっぱりまともに取り合ってくれず、仕方なく自分で心当たりを一つ一つ探し、それでも見付からなくて、近くの町を一つ一つ探し………ようやくひよりを見付け………恐れていた以上の事になってて、さゆり個人ではどうにも出来ない状況になっていた。

 助けたくても、あんな化け物を使える人間相手に、どうする事も出来ない。

 幸い、この町の警察は他の警察より幾ばくか行動的だが、あのふざけた刑事に任せて大丈夫なのか?っと言う心配があった。

 もっとも、仮に助けに行ったとして、逆に捕まって、娘と共々最悪な目に遭うか……殺される可能性だってある。

 そんな危険な奴らの所に娘が………それを思うと、いてもたってもいられなくなるが、大人としての冷静さか、我が身可愛さか、一人でも助けに行くに行けなかった。

 そんな所が、娘と自分にすれ違いを呼び、こんな事になったのでは?

 っと言う考えが浮かび、溜め息を吐くのを止められない。

 何度目かの溜め息の後、ふと昨日自分を助けてくれた少年の事を思い出す。

 僅かな間だったが、その僅かな間で、少年はよくため息を吐いていた。

 あの子なら………もしかしたら……助けてくれるかも………。

 そんな思いが浮かんだが、さゆりは直ぐに首を横に振った。

 どんなに凄い力を持っていても、あの子は子供。こんな危ない事に関わらせるわけには………。

 そう思ったからだ。

 だけど、本当にここの警察に任せるだけでいいのか?

 そう疑問に思った時、部屋のドアがノックもせずに開き、そこから東山刑事が入って来た。

 あまりの無遠慮に、少々眉を顰めつつ、

 「何か御用ですか?」

 そう声を掛けたが、東山刑事は何も答えず、さゆりに近付こうとし、

 「はい。ちょっと待った」

 っと言う声に動きを止めた。

 さゆりはその声に、耳を疑った。

 何故ならその声は、目の前にいる東山刑事の声で、声は東山刑事の後ろから発せられたからだ。

 視線を目の前の東山刑事の後ろに向けると、そこには………もう一人の東山刑事がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ