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第三章『奪われたオウキ』20

   ★夜衣斗★

 (夜衣斗は根本的にお人よしだわね)

 そうか?俺は自分の事を、結構冷たい人間だと思っているが?

 (そう思おうとしてるだけだわね。じゃなきゃ、お願いされたからと言って、わざわざ家まで行って、友達になんかならないだわよ)

 ……………。

 「黒樹君。今日はありがとね」

 楠木家からの帰り、俺は家が星波町外にある春咲さんを駅まで送り、そこで微笑みと共にお礼を言われた。

 「これで明日登校してくれれば言う事ないんだけどね………まあ、そこまでは難しいよね」

 そう言って困った顔をして微笑む春咲さん。

 ………まあ、あれで直ぐに出てくるかは………俺には分からない。俺の予想が正しければ、通常の引きこもりとは状況が違うだろうし………まあ、あくまで予想だし………。

 「……おかしな奴に思ったよね?」

 不意にそんな事を言う春咲さんに、俺は眉をひそめた。

 「いくらクラス委員だからと言って、普通はここまでしないって」

 ……まあ、確かにそう思った事は事実だが………考えて見れば、普通なんて人それぞれだし、正しい事である事は間違いない。だから、俺は首を横に振った。

 それを見た春咲さんはクスリと笑い。

 「優しいよね黒樹君は」

 ………優しいね………。

 「私、中学の時は別の学校に通っての………その中学でもよくクラス委員とかしてて………ある時、クラスで陰湿ないじめが発覚して………」

 ……中学のいじめね……古傷が痛む話だな………。

 「……その時の私はどうすればいいか分からないし、何かをすればこっちにいじめの対象が向くんじゃないかって思って………何も出来なかったの………そして、その子は自殺………しちゃって…………」

 ああ、なるほど……春咲さんはその時の自責の念で行動していたわけだ。

 「だから、出来るのにしないで後悔する事はしたくないの」

 出来るのにしないで公開する事はしたくない………ね………何だか………。

 俺は溜め息を吐き、

 「………また俺が必要になる事があったら言ってください。出来る限りの事は協力しますから」

 「ありがとう、黒樹君」

 そう言って微笑む春咲さんに、俺は頬を掻いた。

 (………やっぱり夜衣斗はお人よしだわよ)

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