第三章『奪われたオウキ』11
★夜衣斗★
………正しき選択ね………。
(このメール相手は予知能力者だわね?)
………まあ、多分そうじゃないか?
(ふ〜ん……この町にそんな奴がいたんだわね)
まあ、そうだが………どこまでいるんだろうな?
(どこまで?)
いや……架空の存在と言われている連中がさ………とりあえず、超能力者や化け猫とかいるのは分かったけど………武装守護霊やメガネベアみたいな知られていない存在がいるなら、知られている存在も結構実際にいるんじゃないかって思ってさ。
(ん〜そうだわね………あたいはあんまり町の外に出た事がないからそんなに知らないだわけど………夜衣斗が見てい漫画とかに出てくる大体はいると思ってもいいだわよ)
大体って………例えば魔法使いとかもか?
(ああ、それは『いた』だわね)
過去形?どう言う事だ?
(ん〜よくは知らないだわけど………昔、魔法使いは、退魔士って呼ばれる者達に滅ぼされたらしいだわよ?)
退魔士?………って事は、その退魔士は今も存在しているわけだな?
(会った事がないから何とも言えないだわね)
妖怪の類なのに?
(退魔士が呼ばれるような悪さなんかしたことないだわね)
まあ、そりゃそうか。
(だわね。失礼しちゃうだわね)
………悪かったよ。
(わかったならよろしいだわね)
まあ、っと言う事はだ………町単位にいないほど退魔士の数はあまりいないって事か………もしかしたら、その退魔士がこの町の事を調べてないかと思ったんだが………考えて見れば、忘却現象は人外の存在にも起きるんだよな?
(起きるだわね)
って事は、そう言う連中にも、この町の事は正確に知れ渡ってない可能性が高いって事だよな………やっぱり外部にどうにかして貰うって言うのはほとんど絶望的なのか………まあ、それほど期待はしてなかたし、一つ可能性が消えたから良いとするか。
(可能性が消えた?)
魔法使いって言うのは、広い意味でのだろう?その中に、陰陽師とか、シャーマンとか含まれている。
(らしいだわよ)
っと言う事は、少なくとも、この町で起っている事は魔法使いの類が起こしたものではないって事になる。
(まあ、そう言う事だわね)
………だからと言って………人間が武装守護霊に関わってないって可能性が消えたわけじゃないがな………まあ、幾分か気が楽になったよ。人間が関わってるなんて………最悪以外のなにものでもないからな………。
(そうだわね…………そう言えば、一つ面白い事を思い出しただわよ)
面白い事?
(聞いた話だと、日本の『五大退魔士家系』と呼ばれる家系の一つが『黒樹』って言うらしいだわよ)
………へえ、妙な偶然だな…………家名だけじゃなくって、本当にそんな家系の生まれだった良かったよ………。
俺はそう思って思わず深い溜め息を吐き、俺はメールの続きを読み始めた。