第三章『奪われたオウキ』10
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君がこのメールを見ている事を祈りつつ、僕はこのメールを送っている。
喜ぶべきか、悲しむべきか、君が順調に生き残り、死の運命から逃れているおかげで、更に僕の予知が使えなくなった。
それと共に、僕の周りの状況も予想より早く展開し始めている。
だから、僕はこのメールを送った後、しばらく君と連絡が取れない状況になってしまう。
つまり、今回のヒントが最後のヒントになるのでそのつもりで見ていて欲しい。
君はこれから五つの宿命の悪意に相対する事になる。
この予知だけは変化がない事から、その五つの宿命の悪意は、いや、高神姉弟と五月雨都雅を合わせれば七つの宿命の悪意は、君の死の運命に直結するものなのだろう。
だから、逃れようにも、逃れられない。そう考えて置いてくれ。
ただ、いつ相対するかまでは分からない。
僕の最初の予知では、五月雨都雅と君が相対するのはもっと後になるはずだったからだ。
つまり、相対するタイミングが、君と僕の行動で流動すると言う事なのだろう。
だからこそ、僕の予知は使い物にならなくなりつつあり、本当なら一つ一つの宿命の悪意に対して正確なヒントを上げるつもりだったが、それも出来なくなってしまった。
しかし、君なら僕の正確なヒントがなくても、運命を乗り越えられると信じている。
何故なら、君は僕にとっての最後の敵なのだから。
これから相対する五つの宿命の悪意だが、
『快楽』
『支配』
『恐怖』
『守護』
『選択』
の五つだ。
この内の快楽については既に相対していると思う。
そう、頂喜武蔵だ。
彼については後で書くとして、残りの四つについてだが、すまないが、それらについては正確には分からなかった。
いや、正確には、二つ守護と選択に付いては、ある程度予想は付く。
だが、現時点でそれを君に教えると、こちらの状況がかなり悪化する可能性があるので、教える事は出来ない。
ただ、これだけは言える。その二つは六番目と七番目である事は間違いなく、その一つ一つに、君は運命の分岐の選択を迫られる事になる。
僕は君がそこまで辿り着き、正しい選択をしてくれる事を祈ってる。