第三章『奪われたオウキ』6
西島さゆりは、ぼーっと自分の車に腰かけながら、警察の事情聴取を見ていた。
「君はよくよく巻き込まれるよねぇ〜何?何か呪われてるの?」
「………」
刑事らしくないその刑事の問いに、さゆりを助けた男の子は、無反応。
あまり喋る事が得意ではないのか、さゆりは、彼に助けられてから今まで一度も声を聞いていない。
年頃から見ると、さゆりの娘と同年代ぐらいなのだろうが、娘の違って随分落ち着いている。
そう、さゆりの娘・ひよりは、元気が良過ぎるぐらい女の子だった。
なのに、ほんのちょっと擦れ違いで家出し、行方不明になった娘とようやく再開した時、娘はまるで別人の様に………壊されていた。
そして、どうする事も出来ないまま、わけのわからないまま、娘は連れ去られてしまう。
それにさゆりは大人だと言うのにこれ以上ないくらいうろたえてしまい、助けてくれた男の子に怒鳴り付け、泣き付いてしまった。
彼は何を言うわけでもなく、ただただ黙って、コンビニ店員が呼んだ警察が到着するまで、さゆりにされるがまま。
冷静になった今思おうと、随分理不尽で、無茶苦茶な事を言っていた。
それなのに、彼は怒るわけでも、逃げるわけでもなく、ただただ黙ってそれを受け止めていてくれた。
これではどっちが大人だか分からない。
謝り、お礼を言うべきかな?
連日の捜索と、先程の出来事で疲れ切った心と体でそう考えたさゆりは、彼に近付こうとした時、
「いや、でも、今回もヤバい事に巻き込まれたねぇ〜」
っと刑事が言い出した。
「あの大男は、鬼走人骸って言う暴走族……っと言うべきか………まあ、少年犯罪グループのリーダーをやってる男でねぇ〜。名前は『頂嬉 武蔵』。あれでも未成年なんだよぉ〜」
ちらっとこっちの方に顔を向ける男の子。
さゆりを心配しての動きだろうが、刑事はそれに気付いていないのか、気にせず話を続ける。
「何がヤバいかって言うと、本物のヤクザと対等に渡り合い、こっちに尻尾を掴ませない様に犯罪行為を犯す連中だって事なんだよねぇ〜」
ヤクザと対等に?何でそんな連中に娘が!?
そう思ったさゆりは、気が遠くなり、倒れそうになる所を男の子に抱き支えられてしまう。
それを見た刑事は、
「君の周りにはよくよく美人が寄ってくるねぇ〜」
そんな事を言ったので、思わず本気でこの刑事が本当に刑事か疑ってしまうさゆりだった。