間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』49(終)
★飛矢折★
「これで容疑者黒樹夜衣斗は解決ですね夜衣斗さん」
「…………………」
赤井さんのその言葉に、黒樹君は妙な雰囲気を出して沈黙。
………多分、今回の事が、映画のタイトル見たいに言われたのが引っ掛かったんだろうけど………。
黒樹君は深い溜め息を吐き、首を横に振った。
「………まだ解決していない問題はありますよ」
「え!?」
「………飛矢折さんの偽物を作って、俺を殺そうとした不良のリーダーの事ですよ………ドッペルの俺が殺された後、周囲をスカウトサーバントで調べたんですが…………それらしき姿はありませんでしたので、多分、転移系の能力か、遠隔操作系の能力を武霊が有している可能性が高いですね…………まあ、不良のリーダーを見付ける前に、飛矢折さんに発見された可能性もあるんですが………」
………ああ!だからあの時溜め息を吐いたのね………
「ごめんなさい。そこまで考え付かなかった」
「………いえ、あくまで可能性の話ですし………正直、出て行くタイミングを見失ってもいましたので…………」
………まあ、確かにあの雰囲気の中に入って行くのは相当勇気がいるよね………黒樹君ならなおさら。
「………まあ、何にせよ。当分は何もしてこないとは思いますけどね………」
★???★
不良のリーダーのミラーマンには、基になったミラーマンにない二つの能力が付与されていた。
一つは、鏡から鏡へ瞬間移動出来る能力。
もう一つは、鏡の中からでも偽物を作り出せる能力。
この二つを作って、町を歩いている飛矢折巴をコピーし、包丁を持たせて、黒樹夜衣斗を殺した………はずだったが、何故か奴は生きていた。
これでこの手はもう使えない。
そう思った彼は、もう一つの手段に出る事にした。
だが、運が悪いのか良いのか、そのもう一つの手段である彼らはここ最近、星波町に来ていない。
だから、彼は待つ事にした。
彼らが、この町に来るのを。
そして、黒樹夜衣斗が油断する瞬間を…………
間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』終
これで間章その四『容疑者黒機夜衣斗』は終了です。
次章は、第三章『奪われたオウキ』です。
引き続き読んでくれると幸いです。