間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』47
★飛矢折★
不意に笑い出した多分犯人の男の子に、あたしは驚きから立ち直った。
………そして、冷静に状況を考えてみる。
まず、笑ってる男の子は………犯人。
私の偽物は………土曜日追っていた不良リーダーの武霊能力?
そして、倒れている黒樹君は………ふっと誰かの視線を感じた。
その気配を感じた場所を見ると、誰もいない道の曲がり角で……感覚を研ぎ澄ませると人の気配を感じた。
…………っと言う事は…………もしかして……。
あたしはそう思いながら、自分の偽物との間合いを一気に詰め、腹部に寸剄を叩き込んで吹き飛ばし……自分の偽物とは言え………あんまり気分がいいものじゃないわね……倒して、人の気配のする所に近付いて、
「やり過ぎでしょ黒樹君」
っとぼそっと言うと………いつもの溜め息が聞こえ、PSサーバントを着た黒樹君が現れ、血の海ごと倒れている黒樹君の偽物を消した。
「………やり過ぎも何も……ここまでやられるのは、こっちも想定外だったんですが………」
そう言いながらみんなの所に行き、頭を下げ、
「………すいません。ご心配をおかけしました」
謝ってくれたけど………
「どう言う事だ!?なんで!?なんで!?」
混乱した犯人の男の子の纏まってない疑問の言葉。
「だって、喋ってたじゃないか!?」
………確か、武霊って喋れないんじゃなかったけ?
その疑問に、みんなの視線が集まる。
黒樹君は再び溜め息を吐き、小さなスピーカーの様なサーバントを具現化した。
「………スピーカーサーバントです。武霊は喋れませんけど、通信みたいな事は出来るでしょ?それの応用です」「………スピーカーサーバントです。武霊は喋れませんけど、通信みたいな事は出来るでしょ?それの応用です」
黒樹君が言葉を発すると、その言葉を同じ声・言葉がスピーカーサーバントが発した。
「………ドッペルゲンガーサーバントにも、本来ならこう言う風に姿を真似た相手の言葉を発せられるんですけど、それはオウキ自身が喋らせる機能だったせいか、使えなかったので」
………なんだかな………
「黒樹君って、あまり武霊が好きじゃない割には色々と試してるよね?」
思わずそう言うと、黒樹君は苦笑して、
「………性分です」