間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』39
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不良達全員をシャドウリベンジャーの能力を使って廃工場の近く、誰もいない場所に連れ去り………シャドウリベンジャーの刀で切り刻んだ。
少しづつ、少しづつ。
悪が、自分や久思に暴力を振るい、恐喝していた奴が、斬られる度に命乞いをする。
恐怖で、失禁し、涙と鼻水と涎と血でぐちゃぐちゃになる不良達の顔。
込み上げてくる感情に、博は驚喜し、満足する前に………殺してしまった。
だが、悪はまだまだいる。
そう、例えば、力を持ってるくせに、その力を正義の為に使わない黒樹夜衣斗。
あいつも殺そう。
惨めに、
無残に、
凄惨に、
殺そう。
シャドウリベンジャーなら、それが出来る。
そう思った時、博の視界が歪み、ふらついた。
初めての具現化だと言うのに、武霊の力を使い過ぎた為だったが、博はそれでもいいと思った。
何故なら、博が武霊使いになったと言う事は誰も知らない。
この殺人も、『謎の正義の武霊使い』によるものだと、言う事になる。
そう思った博は、不良達のバラバラ遺体が転がる場所に、その血を使って、『正義参上』と書き、月曜日に膨れ上がった自分の話題を楽しみにしながら、博は町を出た。
(なのに!何で、あいつがやった事になってやがんだ!)
博が向かう先は、唯一の理解者だと、味方だと、仲間だと、『思っている』久思の教室。
深く考えての行動ではない、明確に何かを言おうと思っているわけではないが、博はとにかく久思に会いたかった。
きっと、久思なら、理解して、認めてくる。
そうとでも思っていたのかもしれない。
だが、久思は教室に………いなかった。
部室にも、いつも隠れている場所にも、いなかった。
探しても、探しても、いなかった。
(久思が学校にいない?どうして?久思を苦しめていた奴らはもういないのに?)
そう疑問に思った時………理解した。
久思は………違うのだと。
それに気付いた博の胸の内から込み上げてきたもの。
それは…………………怒りだった。
方向性のない、どのにも向けられない。どこにも向けられる怒り。
だからこそ、その怒りの方向は直ぐにある人物に向けられた。
黒樹夜衣斗へと。