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間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』37

  ★飛矢折★

 赤井さんと二人で朝食を買いに行って留置所に戻ると、黒樹君は何故か熟睡していた。

 ………寝てなかったのかな?……………考えて見れば、黒樹君なら同世代の女の子が近くで寝てれば酷く緊張するだろうし………余計な事も考えてただろうなぁ〜……………

 「巴先輩。顔が赤いですけど………大丈夫ですか?」

 「え!?うん。っへ、平気よ」

 「?……そうですか?」


  ★美羽★

 巴先輩って、妙な所で顔を赤らめる事があるな………何でだろ?赤面症?

 ………まあ、そんな事より………

 「今日はどうします?」

 その私の問いに、巴先輩は困った顔をした。

 「昨日動きが無かったって事は、黒樹君の見解だとこの町の住人が犯人じゃないって事だよね………」

 「そう言ってましたよね…………じゃあ、今日は何も出来ないって事ですよね?」

 「………そうなっちゃうよね………」

 困った視線を寝ている夜衣斗さんに向ける巴先輩。

 静かに寝息を立てて寝ている夜衣斗さん。

 ………さっき言っていた言葉が気になって………早くこんな鉄格子の中から出してあげたいけど………私にはどうする事も出来なくて、ぎゅっと唇を噛み締めた。


  ★???★

 震える手で、久思は注射器を握っていた。

 ドアに鍵を掛け、雨戸さえ閉め切って、一切の光を排除した部屋の押し入れの中。

 そこが久思の唯一安らげる場所だった。

 その中で、手に伝わる注射器の感覚は、酷く異質なものに感じ、捨てたかったが、捨てられずにいる。

 何故なら、それを渡された時、それを渡した女の子は言ったから、

 「別に使うか使わないかはあんたらの自由だけどよ。下手に捨てて、お前ら以外の誰かの手に渡ってみろ……食い殺してやるからな」

 その際に出した女の子の武霊の恐ろしさに、身体が震える。

 安らげる場所だと言うのに、安らげない。

 どうする事も出来ない久思は、膝に顔を埋め、泣く事しか出来なかった。

 そして、翌日の月曜日。

 久思はそのまま学校を休み………

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