間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』34
★飛矢折★
黒樹君と赤井さんと一緒にレーシングゲームをやりながら、あたしはふと友達の家に泊まると言った時の、電話越しにやたらと心配していた兄達・弟達の事を思い出した。
たまに兄弟達がゲームをやっている所を見た事があるから、それで今の状況を連想したんだろうけど………そう言えば、
「黒樹君ってさ。妹さんがいるの?」
っとあまりしないゲーム中って事もあって、何も考えずに聞いていた。
引っ越しの手伝いをしていた時に、部屋の中に『お兄ちゃんへ』と書かれた手紙を見付けて、ちょっと気になってたからなんだけど………黒樹君から返事が返ってくる前に、
「夜衣斗さんに妹さんはいませんよ?春子さんが姉の一人息子だって言ってましたし」
っと言ったので、ちらっと黒樹君を見ると、黒樹君はあたしを見て頷いた。
……じゃあ、あの手紙はなんだったんだろう?
そう思ったせいか、黒樹君は頷いた後に、
「………手紙でも見たんですか?」
っと鋭い事を聞いてきた。
………まあ、ちょっと考えれば分かる事かな?読んだ後なのか、結構無造作に机に放置されていたから。
「手紙?どう言う事です夜衣斗さん」
っと赤井さんが聞いた時、ゲームの決着が丁度付いたので(一位赤井さん。二位あたし。三位黒樹君)、ゲームするのを自然と止めた。
私も赤井さんも興味津津な事か、ゲームに負けた事かで、黒樹君は溜め息を吐き、
「……偶に両親が知り合いの女の子を預かってくる事があったんです」
知り合いの子?
「……よくは知りませんが、その女の子の両親は、うちの両親と同じく仕事でよく家を空けるそうなんです。っで、一人で留守番させるより、その子より年上である俺と一緒に居させた方がいいだろうって事になって、長期休みの際はよく一緒に過ごしてたんです………それで、何故か俺の事を気に入ったみたいで、俺の事をお兄ちゃんって言う様になったんですよ………多分、飛矢折さんはその子からの手紙を見たんでしょう」
………両親が家をよく空けるね………なんか色々とあるみたいね……黒樹君って………