間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』30
★夜衣斗★
「でもそれって……誰かが殺される可能性があるって事だよね?………そんな可能性があるのに何もしないわけには………」
その飛矢折さんの言葉に、俺は眉を歪めた。
………別にクズが知らない所で死ぬならいいじゃん。
っとダークな考えが浮かんだからだ。
まあ、幸い、眉の方は前髪で隠れているから、眉の動きは分からないだろうが…………さて、どうしたものか………まともな思考で考えれば、確かにそれは不味い。心のどこかでほっとけと言っているダークな俺がいるが……………
「………不良のリーダーが見付からないのは何故です?いくら密かに探しているとは言え、星波町規模の町なら何とかなると思ったんですが………」
「偽物がいるの」
「……偽物?」
「しかも大量に」
………なるほど、偽物を作る能力もしくは機能を持った武霊だとは予想していたが………大量にね……………だったら、
「……その偽物を囮に使えないんですか?」
その俺の提案に、二人は難しそうな顔をして顔を見合わせた。
「その偽物、大量に具現化させられているせいなのか、あまり丈夫じゃないんですよ」
っと、今度は美羽さん。
「しかも、ちょっとでも視界に入ると、いきなり襲い掛かってきますし………多分、無理です」
………ちょっとでも視界に入るとね……………つまり、視覚しか再現されていないって事かな?………なるほど……じゃあ、これならいけるんじゃないかな?
「……ちょっと試して欲しい事があるんですけど………」