間章その四『容疑者黒樹夜衣斗』26
★夜衣斗★
「ん〜高校生が泊まるにしては侘しい場所だけど我慢してなぁ〜?上手くいったらなんか奢るからさぁ〜」
っと言って俺を東山刑事は留置場に連れてきた。
………まあ、表向きには被疑者だから………か?……………
「断わっておくけど、俺は君が犯人だと思ってないよぉ〜?」
俺の微妙な雰囲気を察したのか、檻の中に入る俺にそんな事を言った。
「……でも、他の連中は疑っている奴がいるからねぇ〜。証明の為にも、ここに居て貰いたいんだよぉ〜」
…………本心か?………
(どうだわね?こう言うタイプって、本心を隠す為にふざけた振りをする事が多いだわね)
っと美魅。
………まあ、どうでもいいか………
俺の人生の中で、まさか留置場に泊まる事になるなんて………思いもしなかったな………。
(いいじゃなだわね?きっと、よい人生のアクセントになるだわよ)
………そうだろうか?………今はとてもそうは思えないが………なんか寒いし………まあ、置いてある布団は汚くないからいいけど…………よいアクセントね………そうなったらいいな………。
そんな事を思っていると、不意に俺の目の前の空間が歪んだ。
驚いて固まっていると、その歪みから、メガネベアがポンって感じで現れた。
………瞬間移動?
(瞬間移動だわね)
こんななりして………凄過ぎメガネベア。
そう思うと、メガネベアは照れた様に頭を掻き、片手に持っていたでっかいプリンをスプーンと一緒に差し出した。
……差し入れ?………ありがとう…………って、これ、どっから持ってきた?
その問いに、メガネベアは小首を傾げ、うちの冷蔵庫のイメージを送って来た。
………あ〜………まあ、いっか………やっちゃったものは仕方がないし………、
そう思った俺は、遠慮なくプリンを食べる事にした。